二級ボイラー技士の計算問題は「数学が苦手だから捨てる」と決めてしまう人が多い分野です。でも実際は、使う公式はごく限られていて、必要なのは四則演算だけ。出題も多くが公式に数値を当てはめる基本レベルで、解く手順を「型」として覚えてしまえば、安定して得点できる分野に変わります。
この記事では、効率・相当蒸発量・空気比の 3 つの計算を、実際の数値を入れた worked example(手順を一行ずつ追える例題)で示します。例題の数値は説明用の値で、本番の試験値ではありません。型を一度なぞれば、本番で数字が変わっても同じ手順で解けます。
この記事で分かること
- 二級ボイラー技士で実際に問われる計算の範囲と難易度
- ボイラー効率・相当蒸発量・空気比の公式と「意味」
- 数値を入れて一行ずつ追える worked example(計算の型)
- 単位ミスを防ぐコツと、直前期の優先順位
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計算問題はこの 3〜4 種類に絞られる
| 公式 | 何を求めるか | 主な出題科目 |
|---|---|---|
| ボイラー効率 | 入れた熱がどれだけ有効に使われたか | 構造・燃焼 |
| 相当蒸発量 | 能力を基準状態に揃えた蒸発量 | 構造 |
| 空気比 | 燃焼に使った空気の過不足 | 燃焼 |
| 伝熱面積 | ボイラーの大きさ(区分判定の指標) | 構造・法令 |
計算問題は構造・燃焼の科目で数問程度。多くは公式に数値を代入する基本レベルで、高度な数学は要りません。逆に言えば、この型を押さえるだけで取りこぼしを防げます。伝熱面積は計算というより「区分を判定する数値」として問われることが多いので、ここでは前 3 つの計算の型を中心に扱います。
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例題1:ボイラー効率
公式: ボイラー効率(%) = 発生熱量 ÷ 供給熱量 × 100
- 発生熱量 = 蒸気が持ち出した熱量
- 供給熱量 = 燃料の燃焼で投入した熱量
意味は「入れた熱のうち、何割が蒸気の熱として有効に使われたか」。出た熱 ÷ 入れた熱、と覚えます。
例(数値は説明用): 燃料の燃焼で供給した熱量が 10,000 kW、蒸気が持ち出した発生熱量が 8,500 kW のボイラーの効率を求めます。
- 公式に当てはめる: 効率 = 8,500 ÷ 10,000 × 100
- 割り算をする: 8,500 ÷ 10,000 = 0.85
- 100 を掛けて %に直す: 0.85 × 100 = 85%
ポイントは「分子(発生熱量)と分母(供給熱量)を取り違えないこと」。効率は必ず 100% 以下になるので、計算結果が 100 を超えたら分子と分母が逆だと気づけます。
例題2:相当蒸発量
公式: 相当蒸発量 = 実際蒸発量 ×(発生蒸気の比エンタルピー − 給水の比エンタルピー)÷ 2257
- 実際蒸発量 = 実際に発生した蒸気量
- 2257 = 標準大気圧での水の蒸発潜熱(kJ/kg)
意味は「条件の違うボイラーの能力を、同じ土俵(標準状態で水を蒸発させる基準)に換算して比べる」こと。基準に揃えた蒸発量、と覚えます。
例(数値は説明用): 実際蒸発量 2,000 kg/h、発生蒸気の比エンタルピー 2,770 kJ/kg、給水の比エンタルピー 400 kJ/kg のとき。
- まずカッコの中(熱量の差)を計算: 2,770 − 400 = 2,370 kJ/kg
- 実際蒸発量を掛ける: 2,000 × 2,370 = 4,740,000
- 2257 で割る: 4,740,000 ÷ 2257 ≒ 2,100 kg/h
手順は「①熱量差→②蒸発量を掛ける→③2257 で割る」の 3 段。順番を固定して覚えると迷いません。相当蒸発量は実際蒸発量より大きめの値になるのが普通なので、極端に小さい答えが出たら計算順を見直します。
例題3:空気比
公式: 空気比 = 実際空気量 ÷ 理論空気量
- 実際空気量 = 実際に供給した空気量
- 理論空気量 = 完全燃焼に必要な最小空気量
意味は「完全燃焼に必要な空気に対して、実際はどれだけ供給したか」。空気比が 1 に近いほど無駄が少ない燃焼で、燃料及び燃焼の科目で頻出です。実際 ÷ 理論、と覚えます。
例(数値は説明用): 理論空気量 10 m³、実際空気量 13 m³ のとき。
- 公式に当てはめる: 空気比 = 13 ÷ 10
- 割り算をする: 13 ÷ 10 = 1.3
空気比は通常 1 より少し大きい値(1 を超える)になります。1 を下回る答えは「空気不足=完全燃焼できない」状態を意味し、計算ミスのサインにもなります。
なお空気比は、計算だけでなく「数値の意味を問う」形でも出ます。たとえば「空気比が大きすぎるとどうなるか」と問われたら、過剰な空気を温める分だけ排ガスとして熱が逃げ、効率が下がる——と答えます。逆に小さすぎれば不完全燃焼で煤(すす)が出ます。計算の型と一緒に「1 に近いほど良い燃焼」という意味を押さえておくと、計算問題でも知識問題でも対応できます。
伝熱面積は「計算」より「区分の判定」
伝熱面積は、複雑な式を解かせるより「ボイラーの大きさを表す数値」として、資格区分や法令上の区分を判定する場面で問われます。たとえば二級ボイラー技士が扱えるのは伝熱面積 25m² 未満、という形です。計算問題というより、与えられた伝熱面積がどの区分に当てはまるかを判断する知識問題として捉え、関係法令の数値とセットで覚えるのが効率的です。前 3 つの計算の型を固めたうえで、この区分判定を上乗せすれば、計算系の取りこぼしはほぼなくなります。
単位ミスを防ぐコツ
計算自体は四則演算でも、失点の多くは単位の取り違えです。次の 2 点を習慣にします。
- 代入する前に、与えられた数値の単位(kJ/kg、kg/h、m³ など)を問題文に書き込んで揃える
- 答えを出したら「効率は 100% 以下」「空気比は 1 前後」のように、常識的な範囲に収まっているか確認する
公式は「意味」とセットで覚えると、どの数値を分子・分母に置くか迷いません。出た熱 ÷ 入れた熱(効率)、実際 ÷ 理論(空気比)——この対応を頭に入れておけば、本番で公式を思い出せなくても組み立て直せます。
直前期の優先順位
- 残り 1 ヶ月: 効率・相当蒸発量・空気比の 3 つを、それぞれ例題で 2〜3 回ずつ手を動かして型を固めます。
- 残り 2 週間: 演習で間違えた計算を中心に再演習。伝熱面積は区分判定の数値として確認しておきます。
- 残り 1 週間: 公式と単位の最終確認。新しい問題より、解いた例題をもう一度なぞって手順を体に入れる方が効果的です。
まとめ
二級ボイラー技士の計算は、効率・相当蒸発量・空気比の 3 つの型に集約され、必要なのは四則演算と単位の確認だけです。公式を意味とセットで覚え、例題の手順を一度なぞっておけば、本番で数字が変わっても同じ流れで解けます。「数学が苦手だから捨てる」のは、取れるはずの数問を手放すことになります。
次の一手として、この記事の 3 つの例題をノートに書き写し、数字を自分で変えて一度ずつ解き直してください。手が止まらず最後まで解けたら、その公式は本番でも武器になります。仕上げに オリジナル予想問題 160 問 の計算問題で型を試しましょう。
出典:
- 公益財団法人 安全衛生技術試験協会 二級ボイラー技士試験 — 試験概要・受験案内
- 労働安全衛生法 (昭和 47 年法律第 57 号)
- ボイラー及び圧力容器安全規則







































































