消防設備士甲種特類には、他の類と決定的に違う点が 2 つあります。実技試験がないことと、受験者が全員すでに甲種を複数持っている人であることです。
45 問すべて四肢択一。鑑別も製図もない
| 科目 | 問題数 |
|---|---|
| 工事整備対象設備等の構造・機能・工事・整備 | 15 問 |
| 火災及び防火 | 15 問 |
| 消防関係法令 | 15 問 |
| 合計 | 45 問 / 2 時間 45 分 |
全問が四肢択一のマークシートで、他の類にある鑑別・製図の実技試験が課されません。
これは特類の性格に対応しています。特類は特定の設備の工事方法を問う試験ではなく、特殊消防用設備等という制度と、その前提になる火災・防火の原理を問う試験です。図面を描かせる対象がありません。
▶️ 製図に苦しんで甲種の他の類に手間取った人にとっては、形式面ではむしろ取り組みやすい試験です。
勝負を決めるのは時間ではなく足切り
合格基準は 各科目 40% 以上 + 全体 60% 以上。各科目 15 問なので、40% は 6 問です。
| 内訳 | 構造・機能 | 火災及び防火 | 消防関係法令 | 合計 | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|
| A | 14/15 | 14/15 | 5/15 | 33/45 (73%) | ✗ 法令が 6 問未満 |
| B | 9/15 | 9/15 | 9/15 | 27/45 (60%) | ○ 合格 |
| C | 15/15 | 15/15 | 5/15 | 35/45 (78%) | ✗ 法令が 6 問未満 |
C は 78% 取っていても落ちます。2 科目を満点にしても、1 科目が 5 問なら救われません。
一方 1 問あたりの時間は 45 問 2 時間 45 分で 3 分 40 秒あり、四肢択一としてはかなり余裕があります。時間で落ちる試験ではありません。設計すべきなのは配分ではなく、どの科目も 6 問を確実に超えるという条件です。
🔴 得意科目を伸ばしても、苦手科目が 6 問に届かなければ合否は動きません。3 科目とも 10 問前後を狙うのが実務的な目標になります。
令和 7 年度の合格率は 約 31.9%。受験資格が甲種第 1 類〜第 3 類のいずれか + 甲種第 4 類・第 5 類の 3 種類以上なので、受験者は全員が既に甲種を複数持っている人です。母集団を踏まえると、数字以上に手強い試験だと考えたほうがよいでしょう。
ぴよパスの 165 問は 3 科目に均等配置
消防設備士甲種特類の練習問題は、オリジナルの予想問題を 165 問公開しています。
| カテゴリ | 問題数 | 模試での出題 |
|---|---|---|
| 工事整備対象設備等の構造・機能・工事・整備 | 55 問 | 15 問 |
| 火災及び防火 | 55 問 | 15 問 |
| 消防関係法令 | 55 問 | 15 問 |
本試験の過去問ではなく、出題範囲から独自に作成したオリジナル予想問題です。
特類だけに出る制度が最大の得点源
他の類の学習では出てこないのが、特殊消防用設備等の制度です。消防法第 17 条第 3 項がその根拠になります。
同項は、消防用設備等と同等以上の性能を有し、かつ設備等設置維持計画に従って設置し維持するものとして総務大臣の認定を受けた特殊消防用設備等を用いる場合には、同条第 1 項および第 2 項を適用しないと定めています。
画一的な技術基準になじまない新技術を想定した制度なので、判断を国が一元的に行う建付けになっています。
▶️ ここから、狙われる論点がはっきりします。
| 論点 | 正しい理解 | よくある誤り |
|---|---|---|
| 認定するのは誰か | 総務大臣 | 都道府県知事の許可 / 消防長又は消防署長の承認 |
| 設備等設置維持計画を作るのは誰か | 防火対象物の関係者 | 総務大臣 / 協会 / 消防設備士 |
| 性能評価の申請先 | 協会又は登録を受けた法人(消防法第 17 条の 2 第 2 項) | 総務大臣 / 消防長又は消防署長 |
| 手続の順序 | 性能評価の申請 → 評価 → 総務大臣への認定申請 | 評価結果を添えて性能評価を申請する(順序が逆) |
🔴 「認定」「承認」「許可」「型式承認」を混ぜないのがこの分野の要点です。型式承認は検定対象機械器具等についての別の制度で、特殊消防用設備等の認定とは無関係です。
設備等設置維持計画を作るのが関係者である理由も、条文の建付けから追えます。消防用設備等を設置し維持する義務が関係者にあるという第 17 条第 1 項の構造が、特殊消防用設備等の場合にもそのまま引き継がれているからです。
「火災及び防火」は建築基準法施行令まで戻る
科目名からは消防法の話に見えますが、根拠条文が建築基準法施行令にある論点が多いのが特類の特徴です。
- 防火区画(建築基準法施行令第 112 条)
- 排煙設備(同第 126 条の 2、第 126 条の 3)
- 内装制限と準不燃材料・不燃材料
- 準耐火構造
⚠️ 消防法だけを引いていると根拠にたどり着けません。科目名で法令を決め打ちしないのが、この科目でつまずかないコツです。
そのほか 歩行距離と水平距離の使い分け、水源水量、1,000 平方メートルという基準面積、既存不遡及と遡及適用(消防法第 17 条の 2 の 5)といった数字も頻出です。
教材が少ない試験だからこそ条文で埋める
甲種特類は、市販教材が極端に少ない試験です。ぴよパスの 165 問は、消防法・施行令・施行規則・建築基準法施行令の条文を引いて解説に条番号を入れてあります。間違えたときに e-Gov 法令検索のその条へそのまま戻れます。
▶️ 教材が無いことをどう補うかは 教材が実質 1 冊しかない試験の対策 にまとめました。
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