どこに何問あるかを先に固定する
甲種5類の出題数は決まっています。
| 科目 | 内訳 | 問題数 | 足切り |
|---|---|---|---|
| 消防関係法令 | 共通8+類別7 | 15問 | 6問 |
| 基礎的知識 | 機械10(電気なし) | 10問 | 4問 |
| 構造・機能・工事・整備 | 機械12+規格8(電気なし) | 20問 | 8問 |
| 筆記合計 | 45問 | 全体27問 | |
| 実技 | 鑑別等5+製図2 | 7問 | 全体の60% |
出典: 試験科目・問題数(甲種)
注目すべきは規格の8問です。甲種1類・2類・3類では規格は4問しかありません。甲種5類は甲種4類と並んで規格が8問あり、構造・機能20問の4割を占めます。
理由は、避難器具に規格省令が実在するからです。金属製避難はしごと緩降機には、それぞれ技術上の規格を定める省令があり、寸法・荷重・材料・表示が条文で決まっています。ここは覚えれば確実に取れる領域なので、学習効率が最も高い8問です。
筆記全体で60%(27問)、各科目で40%、実技で60%を同時に満たす必要があります。規格8問を取り切ると、構造・機能の足切り8問がそれだけで見えてきます。
条文が4か所に分かれている — ここが5類の難所
甲種5類でつまずくのは、探している数値がどの法令にあるかが分かりにくいことです。
| 論点 | どこにあるか |
|---|---|
| どの階に何個の避難器具が要るか | 消防法施行令第25条 |
| 個数の緩和・減算・免除 | 消防法施行規則第26条 |
| 器具の位置・構造・維持 | 消防法施行規則第27条 |
| 降下空間・操作面積・避難空地 | 平成8年消防庁告示第2号 |
| 金属製避難はしごの寸法・強度 | 昭和40年自治省令第3号(規格省令) |
| 緩降機の荷重・降下速度 | 平成6年自治省令第2号(規格省令) |
| 救助袋・すべり台などの基準 | 昭和53年消防庁告示第1号 |
とくに降下空間と操作面積は令にも規則にも数値がありません。消防法施行規則第27条第2項が「その他必要な事項は消防庁長官が定める」と告示に委任しているためです。テキストで「降下空間は0.65メートル」と読んで施行規則を探しても見つからないのは、そもそも規則に書かれていないからです。
もうひとつ、救助袋には規格省令がありません。規格省令があるのは金属製避難はしごと緩降機の2つだけで、消防法施行規則第27条第1項第11号が「避難器具(金属製避難はしご及び緩降機を除く)は消防庁長官が定める基準に適合すること」と書いているのはそのためです。救助袋の基準は昭和53年消防庁告示第1号にあります。
法令類別7問は「設置基準の数値」に集中する
消防法施行令第25条第1項は、防火対象物の区分ごとに「何階以上で収容人員何人以上なら避難器具が要るか」を定めています。
| 区分 | 設置階 | 収容人員 |
|---|---|---|
| 令別表第一(六)項 | 2階以上の階又は地階 | 20人以上 |
| 令別表第一(五)項 | 2階以上の階又は地階 | 30人以上 |
| 令別表第一(一)〜(四)項・(七)〜(十一)項 | 2階以上の階又は地階 | 50人以上 |
| 令別表第一(十二)項・(十五)項 | 3階以上の階又は地階 | 無窓階・地階は100人、その他150人以上 |
| 直通階段が2以上ない階 | 3階以上の階 | 10人以上 |
いずれも避難階と11階以上の階は除かれます。これは柱書に書かれており、選択肢で「10階以上」などに差し替えられる定番の論点です。
必要個数は3系統あります。
| 対象 | 個数 |
|---|---|
| 1号・2号・5号の階 | 100人以下は1個。以後100人ごとに1個追加 |
| 3号の階 | 200人以下は1個。以後200人ごとに1個追加 |
| 4号の階 | 300人以下は1個。以後300人ごとに1個追加 |
さらに消防法施行規則第26条第1項に、耐火構造かつ避難階段等が2以上ある場合の読み替え(100→200、200→400、300→600)があり、第2〜4項に減算(避難階段は数をそのまま、渡り廊下と屋上広場の避難橋は×2)があります。
設置個数は「何人ごとに 1 個か」の 3 系統
法令類別で最も配点が集まるのが、令 25 条 2 項 1 号の設置個数の算出です。ここは防火対象物の号によって「何人ごとに 1 個加えるか」が変わる、という 1 点さえ持てば計算できます。
| 令 25 条 1 項の号 | 何人ごとに 1 個加えるか |
|---|---|
| 第 1 号・第 2 号・第 5 号 | 100 人ごと |
| 第 3 号 | 200 人ごと |
| 第 4 号 | 300 人ごと |
計算は「基準人数まで 1 個、超えた分を◯人ごとに切り上げて足す」です。
第 4 号の階、収容人員 1,250 人 300 人以下なら 1 個。超過分 950 人 ÷ 300 = 3.17 → 切り上げて 4 個 合計 1 + 4 = 5 個
🔴 超過分の端数は切り上げです。切り捨てると 4 個になり、これが誤答の選択肢になります。また 200 人ごと・100 人ごとの系統と取り違えると、7 個・13 個という値が出ます。まず何号かを確認してください。
減免(読み替え)は「全部 2 倍」
令 25 条 1 項の階が、
- 特定主要構造部を耐火構造としたものであること
- 直通階段を避難階段または特別避難階段としたものが 2 以上設けられていること
の両方に該当するときは、規則 26 条 1 項により基準人数を読み替えます。
100 人 → 200 人 / 200 人 → 400 人 / 300 人 → 600 人
🔴 3 系統ともちょうど 2 倍になるのが要点です。1.5 倍や 3 倍、あるいは一部だけ倍率が違う選択肢はすべて誤りです。「両方満たせば全部 2 倍」と覚えれば足ります。
減算は「そのまま引く」か「2 を掛けて引く」か
減免とは別に、規則 26 条 2〜4 項の減算があります。ここは掛ける数が違う点だけを押さえます。
| 根拠 | 対象 | 引く数 |
|---|---|---|
| 2 項 | 避難階段・特別避難階段 | 階段の数をそのまま |
| 3 項 | 渡り廊下(耐火構造または鉄骨造等の要件を満たすもの) | 渡り廊下の数 × 2 |
| 4 項 | 屋上広場の避難橋 | 避難橋の数 × 2 |
引いた結果が1 に満たないときは避難器具を設置しないことができます(2 項後段。3 項・4 項も準用)。屋上広場の有効面積の要件は 100 平方メートル以上です。
「階段はそのまま、渡り廊下と避難橋は 2 倍」——この 1 行が減算の全部です。
適応器具は「階が上がるほど減る」
令 25 条 2 項 1 号の表は、階が上がるにつれて使える器具が絞られていきます。第 1 号の行で追うと分かりやすいです。
| 階 | 適応する避難器具 |
|---|---|
| 2 階 | 滑り台・避難はしご・救助袋・緩降機・避難橋・避難用タラップ |
| 3 階以上 | 避難はしごと避難用タラップが落ちる |
| 6 階以上 | さらに緩降機が落ちる → 滑り台・救助袋・避難橋の 3 種類だけ |
上に行くほど減るという向きだけ持てば、6 階以上で緩降機や避難はしごを含む選択肢は切れます。落ちる順番(はしご・タラップ → 緩降機)まで覚えれば万全です。
10 センチメートルは 2 か所に出る
はしごの横さんと壁面の距離は 10 センチメートル以上です。足先を差し込む隙間を確保するための規定で、5cm や 8cm という値は条文に存在しません。
🔴 ただし条件の付き方が違います。
- 固定はしご(規則 27 条 1 項 4 号ハ) … 「防火対象物から 10cm 以上の距離を保有することとなるように設ける」
- つり下げはしご(同項 5 号ハ) … 「使用の際に 10cm 以上の距離を保有することとなるように設ける」
つり下げはしごは使っていないときは畳まれているので、「使用の際」が付きます。そのための部品が突子で、はしごを壁面に密着させない役割を持ちます。はしごを取り付けるのは取付け具であって突子ではありません。
4 階以上の固定はしごは 3 要件
規則 27 条 1 項 4 号ホが定める追加要件です。
- 金属製であること
- バルコニー等に設けること(落下を防止する措置が講じられているものを除く)
- 降下口は直下階の降下口と同一垂直線上にない位置に設けること(避難上・安全上支障のないものを除く)
3 つ目は、真下に降り続けると危ないからずらす、と理由で覚えられます。
基礎的知識10問は「人がぶら下がる」前提の力学
甲種5類の基礎的知識は機械10問です。避難器具は人の体重が直接かかる設備なので、荷重・強度・摩擦・力のつり合いが中心になります。
- 力のつり合い、力のモーメント、重心
- 滑車の組み合わせと荷重
- 応力とひずみ、応力ひずみ線図、安全率(基準強さ÷許容応力)
- 荷重の種類(静荷重・動荷重・繰返し荷重・衝撃荷重)
- 摩擦力と摩擦係数
- 材料の性質と熱処理(焼入れ・焼戻し・焼なまし・焼ならし)
計算問題が出るので、公式を覚えるだけでなく手で解けるところまで持っていく必要があります。ここは電気の知識が一切要らないので、機械系の人には最も短時間で仕上がる科目です。
実技は鑑別を先に固める
実技7問のうち5問が鑑別等です。避難器具は種類が8つ(すべり台・避難はしご・救助袋・緩降機・避難橋・避難用タラップ・すべり棒・避難ロープ)あり、それぞれの構造上の特徴と、どの階・どの防火対象物に適応するかが問われます。
緩降機の構成部品(調速器・調速器の連結部・ロープ・着用具)は規格省令の第3条第1項第2号に列挙されており、鑑別でも構造・機能でも問われる二重取りの論点です。ここを先に固めると、製図の前に得点の土台ができます。
演習で配点の重い順に潰す
当サイトの甲種5類 練習問題 126問は、構造・機能・工事・整備を46問、実技の知識問題を36問そろえています。規格の比重が高い本試験に合わせて、規格省令と告示からの出題を厚くしてあります。数値はすべて原文で確認しています。
算定の手順は製図対策、機器の名称と役割は鑑別対策にまとめています。
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