消防設備士乙4は乙6と違い、基礎的知識で「電気」が問われます。ここで「電気の計算なんて学生以来やってない」「公式を見ただけで頭が止まる」と感じて、計算問題を丸ごと捨ててしまう人が少なくありません。でも、それはもったいない。乙4の計算は出題範囲が限られていて、オームの法則・電力・合成抵抗の3パターンを押さえれば、文系でも公式を当てはめるだけで解けます。
しかも基礎的知識(電気)には40%の足切りがあります。この科目は全6問出題され、計算問題は2〜3問が標準的な比率です。計算を全部捨てると、この科目で40%を割って不合格——という落ち方が一番よくあるパターン。逆に言えば、3パターンだけ確実にしておけば足切り回避に直結します。この記事では、その3パターンを実際の数字で1問ずつ解いて見せます。
この記事が向かない人: 電気工事士や理系バックグラウンドがある場合は、交流回路(実効値・位相)やコンデンサの静電容量など、より高度な論点まで踏み込んだ学習の方が得点を伸ばせます。この記事は「計算が苦手で足切りだけは回避したい」文系受験者向けの内容です。
この記事で分かること
- 乙4の電気計算は「オームの法則・電力・合成抵抗」の3つに絞られること
- それぞれの公式と、覚えておけば式変形できる基本の形
- 数字を入れた具体的な計算例(電流・電力・合成抵抗を実際に求める)
- 直列と並列の合成抵抗の見分け方と計算の違い
- 基礎的知識(電気)の40%足切りを、計算でどう守るか
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パターン1:オームの法則(V=I×R)
すべての土台がこれです。電圧 V = 電流 I × 抵抗 R。求めたい値に応じて式を変形します。
- 電流を求める:I = V ÷ R
- 抵抗を求める:R = V ÷ I
例題1:100Vの電源に20Ωの抵抗をつないだ。流れる電流は?
I = V ÷ R = 100 ÷ 20 = 5A。
たったこれだけです。「V・I・Rのうち2つ分かれば残り1つが出る」と覚えておけば、選択肢のどれを聞かれても対応できます。
パターン2:電力計算(P=V×I)
次に電力。電力 P = 電圧 V × 電流 I(単位はW=ワット)。オームの法則と組み合わせると、次のようにも書けます。
- P = V × I
- P = I² × R(電圧が分からず、電流と抵抗が分かるとき便利)
- P = V² ÷ R
例題2:例題1(100V・20Ω・電流5A)の抵抗が消費する電力は?
P = V × I = 100 × 5 = 500W。
確かめに P = I² × R を使っても、5² × 20 = 25 × 20 = 500W で一致します。どの式でも同じ答えになるので、与えられた数字に合う式を選ぶのがコツです。単位(W)の付け忘れにも注意。
パターン3:合成抵抗(直列と並列)
回路に抵抗が複数あるとき、それを1つにまとめます。直列と並列で計算がまったく違うので、まず回路図のつながり方を見分けるのが最初の仕事です。
| 接続 | 求め方 | イメージ |
|---|---|---|
| 直列 | そのまま足す(R=R₁+R₂) | 一本道に抵抗が並ぶ |
| 並列 | 逆数の和の逆数 | 道が枝分かれする |
例題3a(直列):10Ωと30Ωの抵抗を直列につないだ。合成抵抗は?
直列は足すだけ。10 + 30 = 40Ω。
例題3b(並列):同じ10Ωと30Ωを並列につないだ。合成抵抗は?
並列は逆数の和の逆数。 1 ÷ R = 1/10 + 1/30 = 3/30 + 1/30 = 4/30 R = 30 ÷ 4 = 7.5Ω。
ポイントは、並列の合成抵抗は必ず「一番小さい抵抗より小さく」なること。上の例も、10Ωと30Ωなのに答えは7.5Ωで、10Ωより小さい。計算後に「あれ、元の抵抗より大きくなった」と思ったら、逆数の取り忘れか足し算ミスです。この性質を知っておくと、検算がわりに使えます。
3パターンをつなぐ「電気の解答の型」
本番では、この順で頭を動かすと迷いません。
| 順番 | やること | 例題の値 |
|---|---|---|
| ① 回路を整理 | 抵抗が複数なら合成抵抗を先に出す | 直列40Ω / 並列7.5Ω |
| ② オームの法則 | V・I・Rのうち2つから残り1つ | 100V・20Ω → 5A |
| ③ 電力 | P=V×I(または I²R) | 100×5 → 500W |
複数抵抗の回路では「①合成抵抗 → ②全体の電流 → ③各部の電力」と進むのが定番の流れです。実際に3つをつなげた例題で、流れを体感してみましょう。
例題4(総合):10Ωと30Ωを並列につないだものに、100Vをかけた。回路全体に流れる電流と、回路全体で消費される電力は?
- ① 合成抵抗:例題3bより、並列の合成抵抗は 7.5Ω。
- ② 全体の電流:オームの法則で I = V ÷ R = 100 ÷ 7.5 = 約13.3A。
- ③ 全体の電力:P = V × I = 100 × 13.3 = 約1,330W。
3パターンを順に当てはめるだけで、複数抵抗の回路でも最後まで解けました。本番の計算問題も、与えられた図を見て「まず合成抵抗、次にオームの法則、最後に電力」と機械的に処理すれば、難しく見える設問も分解できます。
やりがちな失敗と回避策
- 計算問題を最初から全部捨てる → 3パターンしか出ない。捨てると基礎的知識(電気)で40%を割りやすい。最低この3つは練習する。
- 直列と並列を取り違える → 並列なのに足してしまうミスが多い。「並列の答えは最小の抵抗より小さい」で必ず検算する。
- 式を覚えずに雰囲気で解く → V=IR、P=VIの2本だけは正確に暗記。あとは変形でまかなえる。
- 単位を書かない / 取り違える → A・V・Ω・Wを答えに必ず添える。マークシートでも単位違いの選択肢に引っかからない。
電気そのものが不安な人は、解き方の流れを 乙4の解き方テクニック で、出やすい論点を 乙4のよく出る分野 で補強すると、計算以外の取りこぼしも減らせます。
まとめ
乙4の電気計算は、基礎的知識(電気)6問のうち2〜3問を占めるオームの法則・電力・合成抵抗の3パターンが核心です。公式は V=IR と P=VI を軸に、あとは変形と「直列は足す・並列は逆数」を押さえれば、文系でも得点できます。基礎的知識(電気)には40%の足切りがあるので、計算を捨てない——これが合格と不合格を分けます。
なお、交流回路(実効値・位相)やコンデンサの静電容量が出題されることもありますが、これらは上位の得点層を目指す段階の論点です。まずはこの記事の3パターンを固めることを優先してください。
次の一歩は、この記事の例題1〜3を数字を変えて自力で解き直すこと。同じ手順で答えが出せたら、電気の足切りはもう怖くありません。
消防設備士乙4 オリジナル予想問題160問で、電気計算3パターンを反復する →
出典:
- 一般財団法人 消防試験研究センター 消防設備士試験 — 試験概要・出題範囲
- 消防法第 17 条の 5 (消防設備士の区分) — 甲種・乙種の規定











































































