乙種5類の合格率は 32.1% → 41.2%。単年で判断してはいけない
まず年度を並べます。
| 年度 | 受験者 | 合格者 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 令和6年度 | 1,166 | 374 | 32.1% |
| 令和7年度 | 1,168 | 481 | 41.2% |
出典: 令和6年度 / 令和7年度 試験実施状況 (年度累計)
🔴 1 年で 9.1 ポイント動いています。 受験者数はほぼ同じ (1,166 → 1,168) なのに合格率だけが跳ねている。理由は単純で、乙種5類は受験者が 1,200 人前後しかいないからです。合格者が 100 人増減するだけで合格率は 8 ポイント以上動きます。
だから「乙5 の合格率は◯%」と 1 つの数字で覚えるのは誤りです。 この試験の合格率は 30% 台前半から 40% 台前半の幅で振れると理解しておくのが正しい読み方で、来年また 32% 台に戻ってもおかしくありません。
甲種5類との比較は、年度によって逆転する
| 年度 | 乙種5類 | 甲種5類 | どちらが高いか |
|---|---|---|---|
| 令和6年度 | 32.1% | 35.0% | 甲種 |
| 令和7年度 | 41.2% | 40.5% | 乙種 |
令和6年度だけを見ると「受験資格で母集団が絞られている甲種のほうが高い」というきれいな説明ができますが、令和7年度では逆転しています。
同じことが他の類でも起きています。
| 類 | 令和6年度 (乙/甲) | 令和7年度 (乙/甲) |
|---|---|---|
| 2類 | 26.3% / 27.3% → 甲 | 29.7% / 27.2% → 乙 |
| 3類 | 23.6% / 25.6% → 甲 | 26.8% / 31.6% → 甲 |
| 5類 | 32.1% / 35.0% → 甲 | 41.2% / 40.5% → 乙 |
令和6年度は 3 類とも甲種が高く「受験資格のぶんだけ甲種は母集団が強い」と読めましたが、令和7年度に残ったのは 3 類だけです。2類は受験者 790 人、5類は 1,168 人と母集団が小さく、年度差がそのまま順位を入れ替えます。
教訓は「小さい区分の合格率で難易度を語らない」こと。 乙5・乙2・乙3 のように受験者が 1,000 人前後の区分では、合格率の上下は難易度の変化ではなく年度ごとのばらつきであることのほうが多いです。難易度を測るなら、合格率ではなく出題範囲と足切りの構造を見てください (次章)。
なお乙種3類の 26.8% は令和7年度も消防設備士13区分で最低で、これは令和6年度 (23.6%) から順位が変わっていません。「乙種は易しい」という一般論が類によって成り立たないのは、年度をまたいでも言えます。
越えるべき関門は3つ
合格には次の3つを同時に満たす必要があります。
- 筆記の各科目で40%以上(法令10問なら4問、基礎的知識5問なら2問、構造・機能15問なら6問)
- 筆記全体で60%以上(30問中18問)
- 実技で60%以上(鑑別等5問)
3つとも独立した条件なので、合計点が足りていても科目のひとつが40%を割れば不合格です。
🔴 最も危ないのは基礎的知識5問です。 足切りは2問なので、3問落とすと即不合格になります。他の科目でどれだけ稼いでもリカバリーできません。機械の基礎(力のつり合い・応力とひずみ・摩擦・仕事)は避けて通れず、しかも電気が1問も出ないので電気で埋め合わせることもできません。
実技も5問しかなく、60%は3問です。2問落とすと不合格なので、鑑別は「なんとなく分かる」では足りません。
免除は使い方を間違えると不利になる
乙種5類で使える免除は限られます。
| 保有資格 | 免除 | 試験時間 |
|---|---|---|
| 他の類の消防設備士免状 | 法令共通など | 短縮あり |
| 特定の消防団員(5年以上勤務+消防学校の専科教育機関科修了) | 基礎的知識(機械)+実技(鑑別等) | 1時間15分 |
| 電気工事士・電気主任技術者(単独) | なし | 1時間45分のまま |
🔴 電気工事士を持っていても乙種5類では免除がありません。 乙5には電気の出題が1問もないためです。免除されるのは「電気に関する部分」なので、そもそも対象が存在しません。
⚠️ 免除すると分母が減ります。 「各科目40%以上」という条件は残るので、得点源だった科目を免除すると1問あたりの重みが増えて、かえって不利になることがあります。とくに基礎的知識5問は元から薄いので、免除で他の科目が薄くなると足切りの危険が上がります。
なお、乙種5類と乙種6類だけは「特定の消防団員」の免除で実技まで外れます。乙種13区分で実技が免除されるのはこの2つだけです。
学習で最初に手を付けるところ
規格6問から入るのが最短です。構造・機能15問の足切りが6問なので、規格を取り切ればそれだけで足切りを越えられる計算になります。
規格の根拠は金属製避難はしごの規格省令(昭和40年自治省令第3号)と緩降機の規格省令(平成6年自治省令第2号)で、寸法・荷重・材料・表示が条文で明記されています。解釈の余地が小さいので、覚えた分がそのまま点になります。
次に鑑別5問。ここで覚える部品名と数値は構造・機能とそのまま重なるので、2つの科目を1回の学習でカバーできます。
法令と基礎的知識は最後で構いませんが、基礎的知識は5問しかないので「捨てる」判断だけは絶対にしないでください。
甲種5類との関係
乙種5類に合格しても、そのまま甲種5類の受験資格にはなりません(甲種の受験資格は国家資格・学歴・実務経験のいずれか)。ただし、乙種5類の免状を取って実務経験を積むルートは甲種への現実的な道筋のひとつです。
また、甲種5類は甲種特類の受験資格に必須です(甲種1類〜3類のいずれか+甲種4類+甲種5類)。将来まで見据えるなら、乙5 → 実務 → 甲5 という順序が意味を持ちます。
現在地を測る
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