危険物乙3で点を落としやすいのは、物質名を知らない場面だけではありません。カリウムは知っているのに「水中だったか灯油中だったか」で迷う。黄りんは聞いたことがあるのに「水で消すのか避けるのか」を取り違える。第3類はこの保管・消火の組み合わせミスで一気に失点します。逆に言えば、ここを物質ごとに固定できれば、性質消火10問のうち数問は安定して取れます。
この記事では、乙3の保管(貯蔵・取扱い)基準を、保護液と不活性ガスと消火剤の組み合わせまで具体的に整理します。性質消火全体は 危険物乙3の性質消火攻略、独学全体の進め方は 危険物乙3の独学ロードマップ へ分担します。
この記事で分かること
- 第3類の「自然発火性=空気を避ける」「禁水性=水を避ける」という2軸の意味
- 保護液(灯油・流動パラフィン)中保存と不活性ガス封入を、どの物質に使うか
- 黄りんが水中保存になる理由と、なぜ別枠で覚えるべきか
- 炭化カルシウム・炭化アルミニウム・リン化カルシウムの保管と消火
- 禁水性物質に注水・泡・二酸化炭素が使えず、乾燥砂や金属火災用粉末になる理由
- 直前期に「だめな組み合わせ」だけを見直して取り違えを消す方法
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第3類は「空気」と「水」の2軸で性格が決まる
第3類は正式には「自然発火性物質及び禁水性物質」です。名前のとおり性格が2つあり、まずこの2軸を物質に貼り付けるところから始めます。
| 性格 | 接触させてはいけないもの | 危険の中身 | 代表物質 |
|---|---|---|---|
| 自然発火性 | 空気(酸素) | 空気に触れると発火 | 黄りん、アルキルアルミニウム |
| 禁水性 | 水 | 水と反応して可燃性ガス発生・発火 | カリウム、ナトリウム、リチウム |
| 両方の性質 | 空気と水の両方 | どちらでも危険 | アルキルアルミニウム、ナトリウム |
多くの物質は両方の性質をあわせ持ちます。カリウム・ナトリウムは水と激しく反応して水素を出すので禁水性、同時に空気中でも酸化が進むので保護液に沈めます。物質名を見たら、まず「空気がだめか、水がだめか、両方か」を即答できる状態を作ってください。
保管の本体は「保護液」と「不活性ガス」
第3類の貯蔵は、危険な接触相手から物質を遮断するのが目的です。遮断の手段は大きく3つに分かれます。
| 保管方法 | 何から守るか | 主な対象 | ねらい |
|---|---|---|---|
| 保護液中で保存 | 空気・水 | カリウム、ナトリウム、リチウム | 灯油・軽油・流動パラフィンに沈め、空気と水を断つ |
| 水中で保存 | 空気 | 黄りん | 水を遮断材として使い、空気との接触を防ぐ |
| 不活性ガス封入 | 空気・水分 | アルキルアルミニウム等 | 窒素などを満たし、酸素・水分をなくす |
ポイントは、灯油やパラフィンといった保護液は「水を避けたい禁水性物質」に使い、黄りんだけは逆に水を保護液として使うという点です。両者を同じ列に並べると本番で崩れます。容器はいずれも密栓・密封し、通気口を開けっぱなしにしないのが共通ルールです。
黄りんは「水中保存」の最重要例外
黄りんは第3類で最も狙われる例外です。自然発火性は強いものの禁水性ではないため、水と反応しません。だからあえて水中に沈め、空気との接触を断って自然発火を防ぎます。
- 危険性: 約34℃で自然発火するほど空気に弱い(白りんの発火点)
- 保管: 水中保存。水は黄りんにとって安全な遮断材
- 消火: 水・噴霧注水が使える。空気を断つ目的で土砂もあわせて使う
- ひっかかり: カリウム・ナトリウムと同じ「禁水」だと思い込むと真逆の対応になる
黄りんは他の物質と同じ表に混ぜず、独立した1枚のカードとして覚えてください。「第3類なのに水を使う物質」という強い違和感ごと記憶に残すと、本番で迷いません。
禁水性物質の消火は「水・泡・CO2が使えない」
禁水性物質の消火は、乙4の感覚をそのまま持ち込むと事故につながります。カリウムやナトリウムは水と反応して水素を発生させるため、注水も、水を含む泡消火も使えません。二酸化炭素もアルカリ金属とは反応しうるため適しません。
| 状況 | 適さない消火剤 | 適する消火剤 |
|---|---|---|
| カリウム・ナトリウム等の禁水性物質 | 水、強化液、泡、二酸化炭素 | 乾燥砂、膨張ひる石・膨張真珠岩、金属火災用粉末 |
| 黄りん(自然発火性・非禁水性) | — | 水・噴霧注水、土砂 |
つまり禁水性物質は「水分を一切持ち込まず、乾燥した固体で覆って空気と水分を断つ」のが基本です。乾燥砂や膨張ひる石は、この「水を使えない場面の主役」として覚えます。乙4との消火感覚の違いは 危険物乙3と乙4の違い でも整理しています。
取り違えを消す「物質×保管×消火」一覧
文章を読み続けるより、物質ごとに保管と消火を1行で並べた方が定着します。水と反応してガスを発生させる物質(炭化カルシウム・炭化アルミニウム・リン化カルシウム)は乙3の頻出論点で、一覧表に必ず加えてください。
| 物質 | 主な性格 | 発生ガス(水との反応) | 保管 | 消火 |
|---|---|---|---|---|
| カリウム・ナトリウム | 禁水性・自然発火性 | 水素 | 灯油・流動パラフィン中 | 乾燥砂・金属火災用粉末(注水不可) |
| リチウム | 禁水性 | 水素 | 保護液中・密封 | 乾燥砂・粉末(注水不可) |
| 黄りん | 自然発火性(非禁水) | — | 水中 | 水・噴霧注水+土砂 |
| アルキルアルミニウム | 自然発火性・禁水性 | 炭化水素ガス | 不活性ガス封入・密封 | 乾燥砂・粉末(注水不可) |
| 炭化カルシウム | 禁水性 | アセチレン(C₂H₂) | 乾燥した場所で密封 | 乾燥砂・粉末(注水不可) |
| 炭化アルミニウム | 禁水性 | メタン(CH₄) | 乾燥した場所で密封 | 乾燥砂・粉末(注水不可) |
| リン化カルシウム | 禁水性 | ホスフィン(PH₃) | 乾燥した場所で密封 | 乾燥砂・粉末(注水不可) |
炭化カルシウム・炭化アルミニウム・リン化カルシウムは「発生するガスが違う」点が狙われます。アセチレン・メタン・ホスフィンをそれぞれ結びつけて覚えてください。
この表のねらいは、きれいなノート作りではありません。本番で物質名を見た瞬間に「保護液か水中か不活性ガスか」「乾燥砂か注水か」を反射で選べるようにすることです。
直前期は「だめな組み合わせ」を消す
直前に全物質を広く読み直すと、固めたはずの分類まで揺れます。最後の数日は、新しい知識を足すのではなく、ありがちな取り違えだけを点検します。重要なのは「取り違えの理由まで消す」こと。炭化カルシウムは禁水性なのに、アセチレン=危険=乾燥砂という連想で保管を誤る、というパターンが多いです。
| ありがちなミス | 正しい対応 |
|---|---|
| 第3類は全部禁水だと思い込む | 黄りんは水中保存・注水可の例外 |
| カリウム・ナトリウムに注水・泡 | 乾燥砂・金属火災用粉末で対応 |
| 灯油中保存と水中保存を混同 | 灯油=禁水性、水中=黄りんと固定 |
| 二酸化炭素なら万能だと考える | アルカリ金属には適さない |
| 炭化カルシウムの発生ガスがメタン | 正しくはアセチレン(炭化アルミニウムがメタン) |
当日の持ち物や時間配分は 危険物乙3試験当日の流れ に任せます。ここでは、保管と消火の取り違えを消すことだけに集中してください。
まとめ
危険物乙3の保管基準は、物質名の暗記ではなく「何から守るか」で考えると崩れません。禁水性は灯油・流動パラフィンの保護液で、自然発火性のアルキルアルミニウムは不活性ガスで、黄りんだけは水中で守る。消火も同じ理屈で、禁水性には乾燥砂、黄りんには注水と分かれます。炭化カルシウム(アセチレン)・炭化アルミニウム(メタン)・リン化カルシウム(ホスフィン)の発生ガスも一覧表と一緒に固めておくと、性質消火10問での得点が安定します。
次の一手として、上の「物質×保管×消火」表を自分の手で1枚にまとめ、黄りんを別枠カードにしてください。あとはオリジナル予想問題で「物質名→保管→消火」を即答できるか試すのが、得点を固める近道です。
危険物乙3のオリジナル予想問題160問で、保管と消火の判断を反射で固める
出典:
- 一般財団法人 消防試験研究センター — 危険物取扱者試験の受験案内・試験科目・合格基準


































