「同じ日に2つ」は、まず支部に聞くのが正しい
消防設備士の複数受験について、消防試験研究センターは「複数受験の実施は支部により異なります」として、受験予定の都道府県の支部(東京都は中央試験センター)へ問い合わせるよう案内しています。全国一律のルールではありません。
願書の受付・受験資格審査・試験の実施はすべて各道府県支部と中央試験センターが行っていて、実施する試験の種類や日時もそこで決まります。「隣県ではできた」という話がそのまま自分の県に当てはまるとは限らないので、計画の最初に支部へ確認してください。
同一時間帯に受けられるのは「第4類と第7類」だけ
センターがはっきり示している唯一の組み合わせがこれです。
複数受験は電気工事士免状を有している場合のみ、試験科目の一部免除を申請することにより第4類と第7類の試験を同一時間帯に受験することが可能です。
条件は2つあります。電気工事士免状を持っていることと、科目免除を申請すること。どちらか欠けると成立しません。よく検索される「乙4と乙6を同時に」は、ここに挙がっていない組み合わせです。
なぜ4類と7類なのかは、次の科目の話につながります。第4類は自動火災報知設備、第7類は漏電火災警報器で、どちらも電気系の設備です。一方で第6類の消火器は機械系で、電気の知識を問う設問がそもそもありません。
電気工事士の免状が効く類・効かない類
消防設備士の試験科目は類ごとに構成が違います。電気工事士免状による免除が効くのは、その類に電気の設問がある場合だけです。公式の「試験の一部免除・試験時間・試験問題数一覧表」で試験時間を並べると差がはっきりします。
| 受験する類 | 免除なし | 電気工事士免状あり |
|---|---|---|
| 甲種第4類(自動火災報知設備) | 3時間15分 | 2時間30分 |
| 乙種第4類(自動火災報知設備) | 1時間45分 | 1時間00分 |
| 乙種第7類(漏電火災警報器) | 1時間45分 | 1時間00分 |
| 乙種第6類(消火器) | 1時間45分 | 1時間45分(変わらない) |
| 甲種第5類(金属製避難はしご等) | 3時間15分 | 3時間15分(変わらない) |
第6類と第5類は、基礎的知識も構造・機能も機械に関する設問だけで構成されていて、電気の欄が「試験問題がない」扱いになっています。免除する対象が存在しないので、電気工事士免状を出しても時間は1分も減りません。
第1類・第2類・第3類は機械と電気の両方から出るため、電気工事士免状で電気の部分だけが免除されます。効く・効かないの二択ではなく、類の科目構成で決まると考えてください。
4類と7類は「互いに」免除を深くする
既に持っている消防設備士免状も免除に使えます。原則は次のとおりです。
- 甲種を受験するとき免除に使えるのは、受験予定の類以外の甲種免状
- 乙種を受験するとき免除に使えるのは、受験予定の類以外の甲種または乙種免状
つまり乙種免状で甲種の免除は受けられません。ここは間違えやすいところです。
そのうえで、第4類と第7類は相手の免状を持っていると免除の範囲が一段深くなります。
| 受験する類 | 他の類の免状で | 4類⇔7類の免状で |
|---|---|---|
| 乙種第4類 | 1時間30分 | 乙種7類を持っていると 1時間15分 |
| 乙種第7類 | 1時間30分 | 甲種4類・乙種4類を持っていると 1時間15分 |
他の類だと消防関係法令の共通部分が免除されるだけですが、4類と7類の間では基礎的知識まで踏み込みます。この2つをペアで計画する意味は、同一時間帯で受けられることだけではありません。
免状が届くまで科目免除は使えない
計画で最もつまずくのがここです。センターは「消防設備士の資格は、免状の交付を受けなければ取得したことになりません」としていて、試験に合格していても、次回試験の受験願書を出す時点で免状が交付されていなければ免除を受けられません。
合格発表から免状交付申請、交付までにかかる時間を見込まずに次の願書を出すと、免除のつもりが一般受験になります。連続で受けるつもりなら、合格発表日と次回の願書受付期間の間隔を先に調べてください。
なお、免状の書換え申請中で手元に免状がない場合でも、前回の受験票または試験結果通知書に記載された資格判定コードで受験申請はできます。ただし免除科目は前回申請時の内容から変更できません。免状番号は個人情報として電話・メールでは教えてもらえないので、免状のコピーは自分で控えておくのが安全です。
免除は有利とは限らない — センターが出している不合格例
合格基準は、筆記は各科目40%以上かつ全体60%以上、実技は60%以上です。免除を受けた場合は、免除された科目を除いた残りでこの基準を満たす必要があります。
分母が減るぶん、得意科目で稼いで平均を持ち上げる余地も減ります。 センターは具体例を公表しています。甲種第4類の免状を持つ人が共通科目の免除を受けて甲種第1類を受験したケースです。
| 科目 | 解答数 | 正解数 | 正答率 |
|---|---|---|---|
| 法令 | 7問 | 7問 | 100% |
| 基礎的知識 | 10問 | 4問 | 40% |
| 構造・機能 | 20問 | 8問 | 40% |
| 合計 | 37問 | 19問 | 51.35% |
科目ごとの正答率を単純に平均すると60%ですが、判定は総解答数に対する総正解数で行うため51.35%となり不合格です。免除で試験時間が短くなっても、残った科目の精度は上げておく必要があるということです。
受ける順番を決めたら、類ごとに解いて確かめる
複数受験を組むときの判断材料は、①支部が複数受験を実施しているか ②電気工事士免状を持っているか ③既に持っている類の免状で何が免除されるか、の3つです。第4類と第7類を軸に考えると、同一時間帯の可能性と免除の深さの両方が取れます。
免除で短くなるのはあくまで時間で、出題そのものが易しくなるわけではありません。受ける類が決まったら、類ごとに手を動かして確かめてください。ぴよパスでは各類の練習問題を無料で公開しています。
- 消防設備士 乙種第7類の練習問題(漏電火災警報器)
- 消防設備士 甲種4類の練習問題(自動火災報知設備・製図あり)
- 消防設備士 乙種4類の練習問題
- 消防設備士 乙種第6類の練習問題(消火器)
類ごとの違いをもう少し広く見たい場合は消防設備士の全類比較を、甲種と乙種のどちらを受けるか決めかねている場合は甲4と乙4の比較を参照してください。
出典(いずれも一般財団法人消防試験研究センター・2026年8月25日確認)
- 試験案内 / 試験の方法 / 試験科目及び問題数
- よくある質問(消防設備士試験)Q11・Q12・Q16・Q18
- 試験の一部免除・試験時間・試験問題数一覧表(甲種・乙種)











