ビジネス会計検定は 3 級が 67.2%、2 級が 43.6%(いずれも第38回・2026年3月8日実施)。形式はどちらもマークシート方式・2 時間・100 点満点 70 点以上で同じなのに、合格率は 20 ポイント以上開きます。
差を生んでいるのは 2 つです。連結財務諸表と、応用的な分析。
加わるのはこの 2 つだけ
| 3 級 | 2 級 | |
|---|---|---|
| 構造の理解 | 貸借対照表・損益計算書・キャッシュ・フロー計算書 | 会計の意義と制度 / 連結財務諸表の構造と読み方 |
| 分析 | 基本分析・安全性・収益性・1株当たり・1人当たり | 左記に加えて連単倍率と規模倍率 / セグメント情報 / 損益分岐点分析 / 株価等の分析 |
| 受験料(税込) | 4,950 円 | 7,480 円 |
| 合格率(第38回) | 67.2% | 43.6% |
🟢 範囲の増え方は素直です。3 級で身につけた「財務諸表を読む」土台の上に、対象が連結に広がり、分析の道具が増える形になっています。
連結は「個別に出てこない 3 語」から入る
連結財務諸表を読むときにつまずくのは、個別の財務諸表には現れない項目です。まずこの 3 つを押さえると全体が見えます。
| 項目 | 何か | 根拠 |
|---|---|---|
| 非支配株主持分 | 連結子会社のうち親会社に帰属しない持分 | 連結財務諸表規則第42条・第43条の4 |
| のれん | 投資と資本の相殺消去で生じる差額 | 同第9条 |
| その他の包括利益累計額 | 個別の「評価・換算差額等」に対応する区分 | 同第43条の2 |
⚠️ 名称が個別と変わるものもあります。個別の損益計算書では「税引前当期純利益金額」ですが、連結では「税金等調整前当期純利益金額」です(同第64条)。名前が違うだけで中身の位置は同じなので、対応表として覚えるのが早くなります。
連結の範囲と持分法は「対」で覚える
条文の構造がきれいに対になっています。
- 原則: 連結財務諸表提出会社は、その全ての子会社を連結の範囲に含めなければならない(第5条第1項)
- 例外①: 支配が一時的と認められる子会社/連結すると利害関係人の判断を著しく誤らせるおそれがある子会社は含めない(同項ただし書)
- 例外②: 重要性の乏しいものは除くことができる(第5条第2項)
- 受け皿: 非連結子会社及び関連会社に対する投資は持分法により計算した価額で連結貸借対照表に計上する(第10条第1項)
▶️ 連結から外れたものが持分法へ流れる、という 1 本の線で理解すると、どちらの条文も思い出しやすくなります。持分法にも「影響が一時的」という同じ形の例外があります。
🔴 数字が 1 つだけ出てきます。決算期の異なる連結子会社は、差異が 3 か月を超えなければ、その事業年度の財務諸表を基礎に連結してよい(第12条第1項ただし書)。超える場合は連結決算日で決算をやり直します。
分析は「分解できるか」で差がつく
2 級の分析でいちばん効くのは、指標を分解して原因を切り分ける考え方です。
ROE の 3 分解
自己資本利益率 = 売上高当期純利益率 × 総資本回転率 × 財務レバレッジ
売上高と総資本が約分されて元に戻るので、式として成立します。売上高当期純利益率 4%・総資本回転率 1.5 回・財務レバレッジ 2.0 倍なら、4 × 1.5 × 2.0 = 12%。
⚠️ 財務レバレッジ(総資本 ÷ 自己資本)は自己資本比率の逆数です。借入を増やせば ROE は上がりますが、同時に自己資本比率は下がります。収益性の改善と安全性の低下が同じ操作から出るので、片方だけを見ると判断を誤ります。
損益分岐点は途中を飛ばすと合わない
損益分岐点分析は 3 級には無い論点です。式が 2 段になっているのが落とし穴になります。
- 限界利益 = 売上高 − 変動費
- 限界利益率 = 限界利益 ÷ 売上高
- 損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ 限界利益率
売上高 2,000・変動費 1,200・固定費 500 なら、限界利益 800 → 限界利益率 0.4 → 損益分岐点売上高 1,250。安全余裕率は (2,000 − 1,250) ÷ 2,000 × 100 = 37.5% です。
▶️ 固定費を売上高で割ってはいけません。限界利益率を経由するのがこの式の要点で、ここを飛ばすと必ず合わなくなります。
6 分野 120 問の構成
ビジネス会計検定2級の練習問題 は、公式の出題範囲に対応した 6 分野で構成しています。
| 分野 | 問題数 |
|---|---|
| 会計の意義と制度 | 20 |
| 連結の範囲と持分法 | 20 |
| 連結財務諸表の構造 | 20 |
| 安全性と連単倍率の分析 | 20 |
| 収益性とキャッシュ・フローの分析 | 20 |
| セグメント情報・損益分岐点・株価等の分析 | 20 |
本試験の問題ではなく、出題範囲から独自に作成したオリジナル予想問題です。各分野 5 問までは登録不要で解けます。
過去問は無料では出回らない
大阪商工会議所は試験問題を全公開していません。公式サイトにあるのは各級の試験問題例だけです。
中央経済社から公式過去問題集(2級 第6版)が有償で刊行されており、第29回〜第34回の問題が公式テキストの項目順に整理されています。うち第30回・第34回は全問が試験出題形式で載っているので、2 時間の配分を確かめる用途に向きます。ただし買っても転載はできないため、無料の過去問アーカイブはこの試験には存在しません。
3 級との併願という選択
受験資格に学歴・年齢・性別・国籍の制限はなく、希望の級から受けられます。さらに連続する 2 つの級を同日に併願受験できます。
- 3 級 4,950 円 / 2 級 7,480 円(いずれも税込)
- 年 2 回、全国の指定会場で一斉実施(CBT ではなく会場受験)
▶️ 2 級の分析は 3 級の指標をそのまま使うので、3 級の範囲を固めてから 2 級の連結と応用分析に進むのが二度手間になりません。3 級側の進め方は 3級 練習問題 169 問の使い方 にまとめました。
出典
- 大阪商工会議所「級別内容・出題範囲」<https://www.b-accounting.jp/about/course.html>(出題範囲・出題形式・試験時間・合格基準)
- 同「受験料」<https://www.b-accounting.jp/guide/price.html> /「受験資格」<https://www.b-accounting.jp/guide/capabilities.html>
- 同「試験結果・受験者データ」<https://www.b-accounting.jp/about/data.html>(第38回の受験者数・合格率)
- 同「公式テキスト・問題集」<https://www.b-accounting.jp/text/text.html>
- 連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則(e-Gov 法令検索、2026 年 4 月 1 日時点で施行されている版)<https://laws.e-gov.go.jp/law/351M50000040028>
いずれも 2026 年 8 月 24 日に確認しました。
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