会計の資格を調べると、日商簿記とビジネス会計検定が並んで出てきます。どちらも会計ですが、問われているものが違います。
簿記は財務諸表を作る技能。ビジネス会計検定は、出来上がった財務諸表を読む力です。
実施団体も受験方式も別
| 日商簿記 | ビジネス会計検定 | |
|---|---|---|
| 実施 | 日本商工会議所 | 大阪商工会議所 |
| 受験方式 | CBT(ネット試験)で随時+統一試験 | 年 2 回・全国の指定会場で一斉 |
| 3 級の試験時間 | 60 分 | 120 分 |
| 3 級の受験料(税込) | 3,300 円 | 4,950 円 |
| 2 級の試験時間 | 90 分 | 120 分 |
| 2 級の受験料(税込) | 5,500 円 | 7,480 円 |
| 仕訳 | 出る | 出ない |
⚠️ 受験機会の差がいちばん実務的に効きます。簿記は思い立った時期に受けられますが、ビジネス会計検定は第39回が 2026 年 10 月 18 日、第40回が 2027 年 3 月 14 日。日程を逃すと半年待ちになります。
「作る」と「読む」は学習内容がここまで違う
ぴよパスの分野構成を並べると、重なりの少なさが見えます。
| 日商簿記3級 | ビジネス会計検定3級 | |
|---|---|---|
| 分野 | 仕訳問題/帳簿・勘定記入/決算 | 財務諸表の役割とディスクロージャー/貸借対照表/損益計算書/キャッシュ・フロー計算書/基本分析と安全性/収益性・成長性 |
🔴 簿記3級は最後に財務諸表を作るところで終わり、ビジネス会計検定3級はそこから始まります。簿記で「決算整理をして貸借対照表を作る」ところまでやった人が、ビジネス会計検定では「その貸借対照表から流動比率と自己資本比率を出して読む」ことを求められます。
▶️ だからビジネス会計検定は簿記を前提にしていません。仕訳が出ないので、簿記を学んでいなくても始められます。
同じ「連結」でも、問われ方が変わる
両方の範囲に入る数少ない論点が連結です。ここが違いを一番はっきり示します。
| 日商簿記2級(商業簿記) | ビジネス会計検定2級 | |
|---|---|---|
| 何をするか | 連結修正仕訳を切り、連結精算表を作る | 出来上がった連結財務諸表を読む |
| 問われること | 投資と資本の相殺消去、未実現利益の消去などの手続 | 非支配株主持分・のれん・その他の包括利益累計額が何を表すか、連結の範囲がどう決まるか |
たとえば非支配株主持分。簿記2級では、子会社の資本のうち親会社持分以外を振り替える仕訳として扱います。ビジネス会計検定2級では、連結財務諸表規則第42条が純資産を株主資本・その他の包括利益累計額・株式引受権・新株予約権・非支配株主持分の 5 つに分類していること、そして第43条の4 がその科目で掲記することを求めていること——つまり貸借対照表のどこに、なぜ出てくるかが問われます。
▶️ 同じ知識を二度使えます。簿記で手続を覚えた人は意味づけが早く、ビジネス会計検定で枠組みを掴んだ人は仕訳の目的が分かります。順番はどちらでも構いません。
簿記経験者が落としやすいのは「分析」
一方で、簿記の学習では扱わない領域があります。財務諸表分析です。
⚠️ とくに分母の取り違えが起きます。
| 指標 | 分母 |
|---|---|
| 自己資本比率 | 総資本 |
| 負債比率 | 自己資本 |
| 固定比率 | 自己資本 |
| 固定長期適合率 | 自己資本 + 固定負債 |
| 売上高成長率 | 前期の売上高 |
🔴 売上高成長率の分母を当期にすると答えが変わります。前期 1,200・当期 1,320 なら 120 ÷ 1,200 = 10% ですが、分母を 1,320 にすると 9.1%。簿記でこの型の計算は出てこないので、別枠で手を動かす必要があります。
どちらを先に取るか
決め手は目的です。
| 立場 | 向く順番 |
|---|---|
| 経理として仕訳や決算を担当する | 簿記が先 |
| 他社の与信、取引先や投資先の数字を読む | ビジネス会計検定3級からでも遠回りにならない |
| 経営企画・営業で社内の数字を扱う | どちらからでも。読む力が先に効く場面が多い |
📌 難度の目安として、合格率は日商簿記3級が約 45%、2級が約 20〜30%(ぴよパスの各試験ページ掲載の目安値)。ビジネス会計検定は第38回(2026年3月8日実施)で3級 67.2%、2級 43.6% でした。
⚠️ 合格率だけで難易度を比べないでください。受験者層が違います。簿記2級は工業簿記・原価計算まで含む一方、ビジネス会計検定2級は仕訳が無い代わりに連結の読み方と応用分析が入ります。範囲の性質が別物です。
演習はどちらも無料で始められる
- ビジネス会計検定3級の練習問題 — 6 分野 169 問
- ビジネス会計検定2級の練習問題 — 6 分野 120 問
- 日商簿記3級の練習問題 — 仕訳から決算まで
- 日商簿記2級の練習問題 — 商業簿記+工業簿記・原価計算
いずれも本試験の問題ではなく、出題範囲から独自に作成したオリジナル予想問題です。各分野 5 問までは登録不要で解けます。
進め方は ビジネス会計検定3級 練習問題 169 問の使い方 と 2級 練習問題 120 問の使い方 にまとめました。教材は 3級のおすすめテキスト を参照してください。
出典
- 大阪商工会議所「級別内容・出題範囲」<https://www.b-accounting.jp/about/course.html>(出題範囲・試験時間・合格基準)
- 同「試験日程・受験地」<https://www.b-accounting.jp/guide/>(第39回・第40回の試験日、年2回の会場受験)
- 同「受験料」<https://www.b-accounting.jp/guide/price.html>
- 同「試験結果・受験者データ」<https://www.b-accounting.jp/about/data.html>(第38回の合格率)
- 連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則 第42条・第43条の4(e-Gov 法令検索)<https://laws.e-gov.go.jp/law/351M50000040028>
日商簿記の受験方式・試験時間・受験料・合格率の目安は、ぴよパスの各試験ページに掲載の値によります。いずれも 2026 年 8 月 24 日に確認しました。
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