証券外務員試験の教材選びには、他の資格ではあまり起きない事情があります。出題範囲を定義している本が、電子書籍でしか買えないことです。
日本証券業協会は出題範囲を「外務員必携」で示しています。2026 年版は全 4 巻。ところが同協会のページには「冊子(紙媒体)では販売しておりません」と明記されています。
そのうえ、試験問題は公表されておらず、公式問題集もありません。年度別の過去問を回すという定番の勉強法が、この試験では最初から成立しません。
▶️ つまり市販書は「参考書のひとつ」ではなく、範囲を読める形にし、本番の形に近づくための実質的な入口です。
一種と二種の差は「第 4 巻 1 冊分」
外務員必携の巻構成と、どこまでが試験範囲かは公表されています。
| 巻 | 内容 | 二種 | 一種 |
|---|---|---|---|
| 第1巻 | 証券市場の基礎知識/金融商品取引法/勧誘・販売に関係する法律/経済・金融・財政の常識/セールス業務 | ○ | ○ |
| 第2巻 | 協会定款・諸規則/取引所定款・諸規則/株式業務/債券業務 | ○ | ○ |
| 第3巻 | 投資信託及び投資法人に関する業務/付随業務/株式会社法概論/財務諸表と企業分析/証券税制 | ○ | ○ |
| 第4巻 | デリバティブ取引 | — | ○ |
一種の追加範囲は第 4 巻だけです。ただし試験そのものは形式から違います。
| 二種 | 一種 | |
|---|---|---|
| ○×方式 | 50 問 | 70 問 |
| 五肢選択方式 | 20 問 | 30 問 |
| 満点 | 300 点 | 440 点 |
| 合格基準 | 7 割(210 点)以上 | 7 割(308 点)以上 |
| 試験時間 | 2 時間 | 2 時間 40 分 |
| 合格率(2025 年度・一般受験者) | 68.1% | 73.1% |
配点が偏っているので、問題集の役割が大きい
配点は ○× が 1 問 2 点、五肢選択が 1 問 10 点(五肢択二は各 5 点)です。
| 二種 | 一種 | |
|---|---|---|
| ○× の満点 | 100 点(33.3%) | 140 点(31.8%) |
| 五肢の満点 | 200 点(66.7%) | 300 点(68.2%) |
🔴 ○× を全問正解しても、二種は 100 点、一種は 140 点にしかなりません。合格ラインまで二種は 110 点、一種は 168 点足りず、そのぶんを五肢で埋める必要があります。問題数では ○× が多数派なのに、得点では五肢が約 3 分の 2 を握ります。
▶️ 五肢で出るのは株式の受渡代金、債券の利回りといった計算問題です。1 問 10 点なので、1 問の取りこぼしが ○× 5 問分に相当します。紙に書いて手順どおり解く練習をしたかどうかが、そのまま点差になります。
テキストの通読だけではここが埋まらないので、この試験では問題集の優先度が上がります。
一種を受ける場合
デリバティブは二種に無い範囲で、しかも五肢の主要な出題単位です。一種で落ちる人の多くはここなので、テキストを 1 周したあとに問題集で当たり直す前提で 2 冊そろえるのが噛み合います。
過去問が存在しない試験なので、本番形式の通し演習を紙で確保したい場合は TAC 出版の「試験をあてる 証券外務員一種 スーパー予想模試」(予想模試 3 回分)という選択肢もあります。
二種を受ける場合
二種は 1 冊完結型から入って構いません。合格率は 2025 年度の一般受験者で 68.1% で、範囲も必携 1〜3 巻に収まります。
⚠️ 用語の説明で足りないと感じたときは、より説明の厚い「うかる! 証券外務員二種 最速テキスト」に切り替える判断もあります。ただし最初から 2 冊買う必要はありません。1 周してから足りない側を足すほうが無駄になりません。
※価格・在庫は変動します。上記は Amazon アソシエイトのリンクです。年度版は必ず確認してください — 法令・諸規則の改正が毎年反映されます。
年度版を外さない
外務員必携は毎年改訂され、市販書もそれに追随します。出題は「直近の法令・諸規則等に基づいた内容」とされているため、年度版のズレはそのまま誤答になります。
▶️ 中古で買う場合は、年度と対応している必携の版を必ず確認してください。この試験に限っては、数百円の差より版の新しさが効きます。
無料で埋まる範囲
紙の教材に頼る前に、演習量そのものは無料で確保できます。
- 証券外務員二種の練習問題 — 6 分野 224 問
- 証券外務員一種の練習問題 — 4 分野 310 問(デリバティブ 71 問を含む)
本試験の問題ではなく、出題範囲から独自に作成したオリジナル予想問題です。各分野 5 問までは登録不要で解けます。本試験と同じ ○× 2 点・五肢 10 点の配点で採点する通し模試と期日つきの復習はプレミアム(月額 480 円)です。正解数ではなく得点で合否を見る感覚は、この配点構造の試験では効きます。
配点から逆算した解き方は 一種 予想問題 310 問の使い方 と 二種 予想問題 224 問の使い方、計算問題の型は 計算問題対策 にまとめています。
出典
- 日本証券業協会「外務員資格試験」<https://www.jsda.or.jp/gaimuin/shiken.html>(出題形式・問題数・配点・満点・合格基準・試験時間)
- 日本証券業協会「外務員必携」<https://www.jsda.or.jp/gaimuin/hikkei.html>(巻構成・試験範囲・電子書籍のみの販売形態)
いずれも 2026 年 8 月 24 日に確認しました。合格率は各試験トップに掲載の 2025 年度・一般受験者の値です。
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