証券外務員一種でデリバティブを後回しにする人は多いのですが、配点で見ると捨てられません。
デリバティブ取引は模試の出題単位で ○× 15 問(30 点)+ 五肢選択 8 問(80 点)= 110 点。五肢の満点 300 点のうち 26.7% がここにあります。空欄にすると、残る五肢 22 問で合格に必要な 168 点(17 問相当)を取ることになり、五肢のほぼ 8 割を残りで取る条件になります。
一方でこの分野は、覚える対象が数字にほぼ集約されているという性質があります。理屈を積み上げる必要が薄いので、表で固定してしまえば得点効率はむしろ高いほうです。
⚠️ 「二種にはデリバティブが無い」は正確ではない
よく「デリバティブは一種だけの範囲」と説明されますが、日本証券業協会の出題範囲の記載は少し違います。
①上記出題科目についての基礎的知識 (二種外務員の職務の範囲外である信用取引及びデリバティブ取引についても、その基礎的知識について「株式業務」、「債券業務」等各関連の科目に含めて出題します。)
▶️ 一種だけに置かれるのは、出題科目としての「デリバティブ取引」です(協会の出題科目の一覧にも「デリバティブ取引(一種外務員資格試験のみ)」と注記されています)。
▶️ 二種でも、信用取引とデリバティブ取引の基礎的知識は出題されます。 ただし独立した科目としてではなく、「株式業務」「債券業務」等の関連科目に含めて出されます。
🔴 したがって、二種を先に取った人がデリバティブをゼロから始めるわけではありません。 二種で触れた基礎的知識の上に、一種で科目としての深さが乗る、という関係です。
⚠️ 原文は「『株式業務』、『債券業務』等各関連の科目」と「等」で開いています。含まれる科目が2つだけ、とは書かれていません。
まず取引単位と呼値の単位を固定する
計算問題の誤りは、ほとんどが倍率の取り違えで発生します。ここだけは先に覚えます。
株価指数先物
| 商品 | 取引単位 | 呼値の単位 | 呼値 1 単位あたりの損益(1 枚) |
|---|---|---|---|
| 日経225先物(ラージ) | 日経平均 × 1,000 円 | 10 円 | 10,000 円 |
| 日経225mini | 日経平均 × 100 円 | 5 円 | 500 円 |
| 日経225マイクロ先物 | 日経平均 × 10 円 | 5 円 | 50 円 |
| TOPIX先物 | TOPIX × 10,000 円 | 0.5 ポイント | 5,000 円 |
| ミニTOPIX先物 | TOPIX × 1,000 円 | 0.25 ポイント | 250 円 |
日経平均を対象とする 3 商品は 1,000 → 100 → 10 と 10 分の 1 ずつ小さくなる三段構えです。TOPIX は 10,000 → 1,000 の二段。この構造で覚えると取り違えにくくなります。
⚠️ 呼値の単位はラージだけ 10 円で、mini とマイクロは同じ 5 円です。倍率と違って比例していないので、ここは個別に覚えます。
国債先物
| 標準物 | 利率 | 残存期間 |
|---|---|---|
| 中期国債標準物 | 年 3% | 5 年 |
| 長期国債標準物 | 年 6% | 10 年 |
| 超長期国債標準物 | 年 3% | 20 年 |
長期国債先物は取引単位が額面 1 億円、呼値の単位は額面 100 円につき 1 銭です。受渡適格銘柄は残存 7 年以上 11 年未満の 10 年利付国債で、交換比率で調整のうえ受け渡します。
🔴 長期国債標準物の利率だけ 6% で、中期と超長期は 3% です。ここは狙われます。
損益計算は 1 本の式に落とす
先物の損益は、どの商品でも同じ形です。
損益 = 価格差 × 取引単位の倍率 × 枚数
売り建ての場合は価格差の符号が逆になる(安く買い戻せば利益)だけで、式は変わりません。
例: 日経225先物 1 枚を 38,250 円で買い建て、40,000 円で転売 (40,000 − 38,250)× 1,000 円 = 1,750,000 円の利益
指数の差 1,750 をそのまま答えにしたり、100 倍・10,000 倍で計算するのが典型的な誤りです。
例: TOPIX先物 2 枚を 2,880.0 で売り建て、2,845.5 で買い戻し (2,880.0 − 2,845.5)× 10,000 円 × 2 枚 = 34.5 × 20,000 = 690,000 円の利益
長期国債先物だけは「値段が額面 100 円あたりの価格」なので式の見た目が変わりますが、考え方は同じです。70 銭 = 0.70 円の値上がりなら、額面 1 億円 × 0.70 ÷ 100 = 700,000 円。1 銭の変動が 1 単位あたり 10,000 円と覚えておけば、70 銭 × 10,000 円で暗算できます。
⚠️ ラージとミニを組み合わせた問題も出ます。日経225先物 1 枚(×1,000)を売り、日経225mini 6 枚(×100 × 6 = 600)を買うと、差引で ×400 分の売り持ちが残る、という読み方をします。倍率を通貨に換算してから相殺するのが手順です。
オプションはプレミアムの分解から入る
オプション料(プレミアム)は 2 つに分かれます。
プレミアム = 本質的価値 + 時間的価値
本質的価値は「いま権利行使したらいくら得か」、時間的価値は「満期までの時間に対する価値」です。この分解を先に入れると、イン・アット・アウト・オブ・ザ・マネーの判定も損益計算も一本道になります。
取引単位は日経225オプションが オプション価格 × 1,000 円、日経225ミニオプションが × 100 円(10 分の 1)。
呼値の単位は二段階で、オプション価格が 300 円以下なら 1 円、300 円超なら 5 円です。一律ではない点が問われます。
権利行使価格は原則 250 円刻みで設定され、直近 3 限月については残存期間が 3 か月となる月の SQ 日の前営業日から 125 円刻みで追加設定されます。「常に 500 円刻み」「追加設定はない」はいずれも誤りです。
権利行使日は SQ 日です(期間中いつでも行使できるわけではありません)。
例: 日経225ミニオプションのコール(権利行使価格 39,000 円)をプレミアム 500 円で 10 単位買い、SQ 値が 39,800 円 受取額 = 800 円 × 100 円 × 10 = 800,000 円 支払プレミアム = 500 円 × 100 円 × 10 = 500,000 円 差引 300,000 円の利益
制限値幅と証拠金は「誰が決めるか」で覚える
この 2 つは数字だけでなく決める主体が問われます。
制限値幅(株価指数先物)は通常時が基準値段の上下 8%。サーキット・ブレーカーの発動状況に応じて第一次拡大で 上下 12%、第二次拡大で 上下 16% まで、該当する方向のみ拡大されます。市況等を勘案して臨時に見直されることがあります。
取引証拠金は日本証券クリアリング機構(JSCC)が VaR 方式で算出します。証券会社が顧客から受け入れる証拠金は、JSCC の証拠金所要額以上となる範囲で各社が独自に設定するため、会社ごとに水準が違います。
🔴 「取引金額の一律 10%」「1 枚あたり固定額」はどちらも誤りです。相場変動に応じて所要額が見直されます。
演習で数字を確認する
上の表を読んだ直後は覚えた気になりますが、倍率と刻みは 1 週間で混ざります。日経225mini を 10 倍、ミニTOPIX 先物の呼値を 0.5 ポイントと答えてしまう、というのが典型です。
証券外務員一種の練習問題では、デリバティブ取引に 71 問を用意しています。損益計算は数値を変えた複数パターンを置いてあり、誤答の選択肢も「倍率を取り違えた場合の値」「売買を取り違えた場合の値」で構成しているので、どこで間違えたかが選んだ肢から分かります。
本試験の過去問ではなく、出題範囲から独自に作成したオリジナル予想問題です。
配点で見た全体の設計は 予想問題 310 問の使い方 にまとめました。
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