結論:この節の得点源は成分ではなく「用語の範囲」
婦人薬は成分の分量が少ない節です。手引きの本文も、多くの成分について「◯章を参照して作成のこと」と他の章に投げています。この節でしか説明されないのは、女性ホルモン成分と、5つの生薬と、漢方処方だけです。
そのぶん、問われる中心は用語の定義と範囲に寄ります。とくに次の1文が、この節でいちばん出しやすい形をしています。
血の道症は、月経、妊娠、分娩、産褥(分娩後、母体が通常の身体状態に回復するまでの期間)、更年期等の生理現象や、流産、人工妊娠中絶、避妊手術などを原因とする異常生理によって起こるとされ、範囲が更年期障害よりも広く、年齢的に必ずしも更年期に限らない。
▶️ 「血の道症 ⊃ 更年期障害」です。しかも年齢で決まらない。
🔴 「血の道症は更年期に起こる症状である」という肢は誤りになります。手引きが「必ずしも更年期に限らない」と明示しているからです。
3つの用語の関係を、先に図にしておく
この節には似た用語が3つ出てきます。定義の出どころが違うので、並べて確認しておきます。
| 用語 | 手引きの定義 |
|---|---|
| 血の道症 | 臓器・組織の形態的異常がなく、抑うつや寝つきが悪くなる、神経質、集中力の低下等の精神神経症状が現れる病態。不定愁訴として位置づけられる |
| 更年期障害 | 更年期において、月経周期が不規則になるほか、血の道症の症状に加え、冷え症、腰痛、頭痛、頭重、ほてり、のぼせ、立ちくらみ等が起こる症候群 |
| 月経前症候群 | 月経の約10〜3日前に現れ、月経開始と共に消失する腹部膨満感、頭痛、乳房痛などの身体症状や、感情の不安定、抑うつなどの精神症状を主体とするもの |
▶️ 血の道症は「形態的異常がない」のが定義の中に入っています。検査で異常が見つかるものは含まれません。
🔴 月経前症候群の「約10〜3日前」は、数字がそのまま出ます。開始と共に消失するという時間の条件もセットです。
⚠️ 不定愁訴の定義も脚注に置かれています。「体のどの部位が悪いのかはっきりしない訴えで、全身の倦怠感や疲労感、微熱感などを特徴とする」。
月経周期の数字は1つだけ
月経周期は、個人差があり、約21日〜40日と幅がある。
▶️ この節で覚える周期の数字はこれだけです。上の「約10〜3日前」と2つ並べておけば足ります。
⚠️ ホルモンの担い手も1文で書かれています。「視床下部や下垂体で産生されるホルモンと、卵巣で産生される女性ホルモンが月経周期に関与する」。産生する場所が3つ(視床下部・下垂体・卵巣)です。
▶️ 閉経は「加齢とともに卵巣からの女性ホルモンの分泌が減少していき、やがて月経が停止して、妊娠可能な期間が終了すること」。更年期(閉経周辺期)はその前後の移行的な時期で、「体内の女性ホルモンの量が大きく変動する」とされています。
② 塗るのに全身に回る、が女性ホルモン成分のすべて
成分側でいちばん重いのが女性ホルモン成分です。ここは1つの事実から注意が全部出てきます。
人工的に合成された女性ホルモンの一種であるエチニルエストラジオールは、エストラジオールを補充するもので、膣粘膜又は外陰部に適用されるものがある。これらの成分は適用部位から吸収されて循環血液中に移行する。
▶️ 局所に使うのに、全身に回ります。 ここから3つの注意が降りてきます。
| 誰に | 手引きの記述 |
|---|---|
| 妊婦 | 妊娠中の女性ホルモン成分の摂取によって胎児の先天性異常の発生が報告されており、妊婦又は妊娠していると思われる女性では使用を避ける必要がある |
| 授乳婦 | 吸収された成分の一部が乳汁中に移行することが考えられ、母乳を与える女性では使用を避けるべき |
| 長期連用する人 | 長期連用により血栓症を生じるおそれがあり、また、乳癌や脳卒中などの発生確率が高まる可能性もあるため、継続して使用する場合には医療機関を受診するよう促すべき |
🔴 妊婦と授乳婦で、根拠の書き方が違います。 妊婦は「報告されており」(実例がある)、授乳婦は「考えられ」(推定)。手引きは断定の強さを書き分けています。
▶️ 長期連用の3つ(血栓症・乳癌・脳卒中)は、この節でしか出てこない組み合わせです。手引きは脚注で医薬品・医療用具等安全性情報 No.197(平成16年1月)を出典として挙げています。
生薬は5つ。基原に「湯通し」「蒸す」が入る
この節で自前に説明されている生薬は5つです。基原の書き方に加工が入るのが特徴です。
| 生薬 | 基原 | 期待される作用 |
|---|---|---|
| サフラン | アヤメ科のサフランの柱頭 | 鎮静、鎮痛、女性の滞っている月経を促す |
| コウブシ | カヤツリグサ科のハマスゲの根茎 | 同上 |
| センキュウ | セリ科のセンキュウの根茎を、通例、湯通ししたもの | 血行を改善し血色不良や冷えを緩和、強壮・鎮静・鎮痛 |
| トウキ | セリ科のトウキ又はホッカイトウキの根を、通例、湯通ししたもの | 同上 |
| ジオウ | ゴマノハグサ科のアカヤジオウ等の根又はそれを蒸したもの | 同上 |
🔴 センキュウとトウキは「湯通し」、ジオウは「蒸す」。加工の言葉が違います。基原を問う問題では、この動詞が入れ替えられます。
▶️ サフランは「柱頭」(花の一部)で、根や根茎ではありません。部位を問う形で狙われます。
⚠️ 手引きは「日本薬局方収載のサフランを煎じて服用する製品は、冷え症及び血色不良に用いられる」とも書いています。
他の章へ投げられている成分は、そちらで覚える
婦人薬の節に名前だけ出てくる成分は、別の章に本体があります。ここで覚え直す必要はありません。
- シャクヤク、ボタンピ(鎮痛・鎮痙)→ 解熱鎮痛薬の章
- サンソウニン、カノコソウ(鎮静)→ 眠気を促す薬の章
- カンゾウ(抗炎症)→ 鎮咳去痰薬の章
- オウレン、ソウジュツ、ビャクジュツ、ダイオウ(胃腸症状)→ 胃腸に作用する薬の章
- モクツウ、ブクリョウ(利尿)→ それぞれ別章
- ビタミンB1・B2・B6・B12・C・E、アミノエチルスルホン酸(タウリン)、グルクロノラクトン、ニンジン → 滋養強壮保健薬の章
🔴 ダイオウだけは、この節でも名指しの注意が付いています。「特に、ダイオウを含有する医薬品については、妊婦又は妊娠していると思われる女性、授乳婦における使用に関して留意される必要があり」。女性ホルモン成分と同じく妊婦・授乳婦の話になるので、混ざらないよう分けて持ってください。
漢方9処方は「体力」の物差しに並べる
婦人薬の漢方は9処方あります。丸暗記に見えますが、手引きはどれについても冒頭に体力の条件を書いており、そこに並べると位置関係が見えます。
| 体力の条件 | 処方 |
|---|---|
| 体力虚弱 | 四物湯、当帰芍薬散 |
| 体力中等度以下 | 温経湯、加味逍遙散、柴胡桂枝乾姜湯 |
| 体力中等度 | 温清飲 |
| 体力中等度又はやや虚弱 | 五積散 |
| 体力中等度以上 | 桃核承気湯 |
| 比較的体力があり | 桂枝茯苓丸 |
▶️ 両端が覚えどころです。 体力がある側は桂枝茯苓丸と桃核承気湯、虚弱側は四物湯と当帰芍薬散。真ん中は「中等度以下」に3つ集まります。
⚠️ 表現は原文どおりに拾っています。「中等度以下」と「中等度」と「中等度又はやや虚弱」は別の言い方です。
カンゾウを含むのは5つ
これらのうち、温経湯、加味逍遙散、五積散、柴胡桂枝乾姜湯、桃核承気湯は構成生薬としてカンゾウを含む。
▶️ 9つのうち5つです。裏返すと、温清飲・桂枝茯苓丸・四物湯・当帰芍薬散の4つは含みません。
長期服用の例外が2つある
(感冒に用いられる場合の五積散、便秘に用いられる場合の桃核承気湯を除き、)いずれも比較的長期間(1ヶ月位)服用されることがあり
🔴 例外の書き方が独特です。 処方そのものを外しているのではなく、「その用途で使う場合」を外しています。 五積散も桃核承気湯も、月経の症状に使うときは長期服用の側に入ります。
▶️ カンゾウと長期服用のどちらでも名前が出るのが五積散と桃核承気湯です。まずこの2つを軸にすると整理しやすくなります。
解いて、範囲の言葉に反応できるか確かめる
この節の問題は、用語の範囲を1語ずらして作られます。「血の道症は更年期に限って起こる」「月経前症候群は月経開始後に現れる」——読むだけでは、この1語に反応する速さは育ちません。
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⚠️ ぴよパスの問題は本試験の再現ではなく、厚生労働省の手引きにもとづいて独自に作成した予想問題です。
まとめ
- 血の道症は更年期障害より範囲が広く、年齢的に必ずしも更年期に限らない
- 血の道症の定義に「形態的異常がなく」が入っている
- 月経前症候群は月経の約10〜3日前に現れ、月経開始と共に消失する
- 月経周期は約21日〜40日。関与するのは視床下部・下垂体・卵巣
- エチニルエストラジオールは膣粘膜又は外陰部に適用されても循環血液中に移行する
- だから妊婦(先天性異常の報告)も授乳婦(乳汁中に移行)も避ける
- 長期連用で血栓症、乳癌や脳卒中の発生確率が高まる可能性
- 生薬は5つ。サフラン=柱頭、センキュウ・トウキ=湯通し、ジオウ=蒸したもの
- 漢方9処方は体力の物差しに並ぶ。カンゾウを含むのは5つ
- 長期服用の例外は「感冒に用いられる場合の五積散」「便秘に用いられる場合の桃核承気湯」
出典
- 厚生労働省「登録販売者試験問題の作成に関する手引き(令和8年4月一部改訂)」第3章 主な医薬品とその作用 Ⅵ 婦人薬「1)適用対象となる体質・症状」 — 月経と月経周期(約21日〜40日)、関与するホルモンの産生部位、閉経と更年期(閉経周辺期)、血の道症の定義および更年期障害との範囲の関係、月経前症候群(約10〜3日前・月経開始と共に消失)、不定愁訴の脚注、婦人薬の効能・効果
- 同「2)代表的な配合成分等、主な副作用」 — (a)女性ホルモン成分(エチニルエストラジオール、膣粘膜・外陰部への適用と循環血液中への移行、妊婦・授乳婦での使用回避、長期連用による血栓症・乳癌・脳卒中と受診勧奨、脚注131「医薬品・医療用具等安全性情報 No.197(平成16年1月)」)、(b)生薬成分(①サフラン・コウブシ ②センキュウ・トウキ・ジオウ ③その他の生薬成分と他章への参照、ダイオウの妊婦・授乳婦に関する留意)、(c)ビタミン成分、(d)その他
- 同 ⚫漢方処方製剤 — 9処方の列挙、カンゾウを含む5処方、感冒に用いられる場合の五積散および便秘に用いられる場合の桃核承気湯を除き比較的長期間(1ヶ月位)服用されることがある旨、各処方の体力の条件
編集部の見方:婦人薬の節は、他の薬効群に比べて「◯章を参照して作成のこと」という他章への投げが目立ちます。裏を返すと、この節で新しく覚えることは限られていて、そのぶん用語の範囲に配点が寄ります。血の道症と更年期障害の包含関係は、原文がわざわざ「範囲が更年期障害よりも広く、年齢的に必ずしも更年期に限らない」と1文で書いているので、出題側から見れば作りやすい形です。女性ホルモン成分のほうも、注意が3つ並んでいるように見えて、根拠はすべて「適用部位から吸収されて循環血液中に移行する」の1文に集約されます。投げられている成分は投げ先で覚え、この節では範囲と移行の2つに集中するのが、時間あたりの戻りがいちばん大きい進め方です。











