結論:共通の1枚を作って、そこからのズレだけを覚える
解熱鎮痛成分は成分数が多く、しかも1つずつに注意事項が付くので、成分ごとに覚えると量が爆発します。
しかし手引きの書き方を見ると、まず共通の性質をまとめて述べ、そのあと各成分について「〜を除く」「〜に比べ」「その分」「異なる」といった語でズレを示す構成になっています。共通1枚+ズレだけ、というのが読み方です。
そして最初のズレは、いきなり最初の説明文の括弧の中に置かれています。
体の各部(末梢)での痛みや炎症反応に対しては、局所のプロスタグランジン産生を抑制する作用により、それらを鎮める効果を発揮する(アセトアミノフェンの場合を除く。)。
▶️ この括弧1つが、あとで効いてきます。(後述)
共通の1枚:仕組みから、避けるべき人が導ける
まず共通側です。手引きは解熱の仕組みを2つ書いています。
解熱に関しては、中枢神経系におけるプロスタグランジンの産生抑制作用のほか、腎臓における水分の再吸収を促して循環血流量を増し、発汗を促進する作用も寄与している。
▶️ 中枢だけではありません。 腎臓での水分再吸収 → 循環血流量が増える → 発汗、という経路も書かれています。
そしてこの2つ目から、避けるべき人が出てきます。
| 誰が悪化するか | 手引きの理由 |
|---|---|
| 心臓に障害がある人 | 循環血流量の増加は心臓の負担を増大させるため |
| 腎機能に障害がある人 | 末梢におけるプロスタグランジンの産生抑制は、腎血流量を減少させるため |
| 肝機能障害がある人 | 代謝されて生じる物質がアレルゲンとなってアレルギー性の肝機能障害を誘発/プロスタグランジンの産生抑制が逆に炎症を起こしやすくする可能性 |
| 胃・十二指腸潰瘍がある人 | プロスタグランジンには胃酸分泌調節作用や胃腸粘膜保護作用もあり、それが妨げられると胃酸分泌が増加し胃壁の血流量が低下 |
▶️ 4つの基礎疾患(心臓病・腎臓病・肝臓病・胃十二指腸潰瘍)は、丸暗記ではなく仕組みから出てきます。
🔴 肝臓だけ理由が2つあります。しかも2つ目は「産生抑制が逆に炎症を起こしやすくする」という向きです。
▶️ 「なるべく空腹時を避けて服用する」のも、この胃の話が根拠です。ただし手引きは「〜となっている場合が多い」と限定しています。全部ではありません。
基礎疾患がなくても長期連用は避ける
なお、これらの基礎疾患がない場合でも、長期間にわたって解熱鎮痛薬を使用すると、自覚症状がないまま徐々に臓器の障害が進行するおそれがあるため、長期連用は避けるべきである。
▶️ 飲酒も避けます。 理由は「アルコールが解熱鎮痛成分の吸収や代謝に影響を与え、肝機能障害等の副作用を起こしやすくするおそれ」です。
重篤な副作用は4つ。ただし名前に注意
化学的に合成された解熱鎮痛成分に共通して、まれに重篤な副作用としてショック(アナフィラキシー)、皮膚粘膜眼症候群や中毒性表皮壊死融解症、喘息を生じることがある。喘息については「アスピリン喘息」としてよく知られているが、これはアスピリン特有の副作用ではなく、他の解熱鎮痛成分でも生じる可能性がある。
🔴 「アスピリン喘息はアスピリン特有ではない」と手引きが明示しています。名前に引きずられる肢が作れる典型です。
最大の罠:「〜ピリン」でもピリン系とは限らない
この節でいちばん覚え方が効くのがここです。手引きは脚注で、はっきり書いています。
これに対して他の解熱鎮痛成分を「非ピリン系」と呼ぶことがある。アスピリンやサザピリンは、成分名が「〜ピリン」であっても非ピリン系の解熱鎮痛成分であるが、一般の生活者では誤ってピリン系として認識していることも多い。
▶️ 名前では判定できません。
| 成分 | 系統 |
|---|---|
| イソプロピルアンチピリン | ピリン系 |
| アスピリン | 非ピリン系(名前は「〜ピリン」) |
| サザピリン | 非ピリン系(名前は「〜ピリン」) |
そして手引きは、ピリン系がここまで減った経緯まで書いています。
1960年代半ばまでは、イソプロピルアンチピリン以外のピリン系解熱鎮痛成分も、一般用医薬品のかぜ薬や解熱鎮痛薬に配合されていたが、ショック等の重篤な副作用が頻発したため用いられなくなり、現在では、イソプロピルアンチピリンが一般用医薬品で唯一のピリン系解熱鎮痛成分となっている。
🔴 「一般用医薬品で唯一」という限定が付いています。医療用医薬品には現在でも他のピリン系があるとも書かれているので、「唯一」を一般用に限らずに書いた肢は誤りです。
▶️ ピリン疹(ピリン系による薬疹)を起こしたことがある人は使用しません。
⚠️ もう1つ打ち消しがあります。 脚注に「イソプロピルアンチピリン以外の解熱鎮痛成分でも薬疹等のアレルギー症状が生じることはある。一般の生活者では、『非ピリン系解熱鎮痛成分では薬疹のおそれがない』等と誤って認識している場合がある」。
▶️ イソプロピルアンチピリンそのものの性質は1行です。「解熱及び鎮痛の作用は比較的強いが、抗炎症作用は弱いため、他の解熱鎮痛成分と組み合わせて配合される」。
15歳未満は、禁止の「強さ」が2段階に割れる
サリチル酸系の年齢制限は、すべてが同じ扱いではありません。
アスピリン(アスピリンアルミニウムを含む。)、サザピリン及びサリチル酸ナトリウムは、15歳未満の小児に対しては、いかなる場合も一般用医薬品として使用してはならない。 また、エテンザミド及びサリチルアミドについては、水痘(水疱瘡)又はインフルエンザにかかっている15歳未満の小児に対しては使用を避ける必要がある。
| 強さ | 成分 | 条件 |
|---|---|---|
| いかなる場合も使用してはならない | アスピリン(アルミニウムを含む)、サザピリン、サリチル酸ナトリウム | 条件なし |
| 使用を避ける必要がある | エテンザミド、サリチルアミド | 水痘またはインフルエンザにかかっているとき |
🔴 エテンザミドとサリチルアミドには条件が付きます。 「15歳未満には使えない」と一括りにすると、この2つで落とします。
▶️ 背景はライ症候群です。手引きは脚注で定義しています。「主として小児が水痘(水疱瘡)やインフルエンザ等のウイルス性疾患に罹っているときに、激しい嘔吐や意識障害、痙攣等の急性脳症の症状を呈する症候群で、その発生はまれであるが死亡率が高く、生存の場合も脳に重い障害を残す等、予後は不良である」。
⚠️ 「まれだが死亡率が高い」という非対称がそのまま出題材料になります。
イブプロフェンも15歳未満だが、理由が違う
イブプロフェンについても「一般用医薬品においては、15歳未満の小児に対しては、いかなる場合も使用してはならない」と書かれています。ここまでは同じです。
🔴 しかし理由が違います。 第5章の別表を見ると、15歳未満の欄で理由が書き分けられています。
| 成分 | 別表に書かれた理由 |
|---|---|
| アスピリン、アスピリンアルミニウム、サザピリン、プロメタジンメチレンジサリチル酸塩、サリチル酸ナトリウム | 外国において、ライ症候群の発症との関連性が示唆されているため |
| イブプロフェン | 一般用医薬品では、小児向けの製品はないため |
▶️ イブプロフェンはライ症候群が理由ではありません。 第3章だけ読むと、どちらも同じ書き方なので気づけません。理由の違いは別表側にあります。
⚠️ 年齢制限の表そのものは別記事にまとめてあります。
成分ごとのズレは5つだけ
共通1枚を作ったあと、覚えるのはズレです。
① アセトアミノフェン — 末梢の抗炎症が期待できない
冒頭の括弧が、ここで回収されます。
主として中枢作用によって解熱・鎮痛をもたらすため、末梢における抗炎症作用は期待できない。その分、他の解熱鎮痛成分のような胃腸障害は少なく、空腹時に服用できる製品もあるが、食後の服用が推奨されている。
▶️ 1文の中で3段階に降りています。 中枢だけ → 抗炎症は期待できない → その分胃腸障害が少ない → 空腹時に服用できる製品もある → ただし食後推奨。
🔴 「空腹時に服用できる」と「食後が推奨」が同じ文に同居しています。 片方だけを切り取った肢が作れる形です。
▶️ 重篤な副作用は6つで、他の成分より多く並びます。皮膚粘膜眼症候群、中毒性表皮壊死融解症、急性汎発性発疹性膿疱症、間質性肺炎、腎障害、肝機能障害。しかも起こりやすい条件が2つ明示されています。「特に定められた用量を超えて使用した場合や、日頃から酒類(アルコール)をよく摂取する人」。
⚠️ 専ら小児の解熱に用いる坐薬もあります。手引きは「一般の生活者の中には、坐薬と内服薬とは影響し合わないとの誤った認識を持っている人がいる」として、併用しないよう注意を喚起する必要があるとしています。
② エテンザミド — 効かせ方が違うから、組み合わせる
エテンザミドは、痛みの発生を抑える働きが作用の中心となっている他の解熱鎮痛成分に比べ、痛みが神経を伝わっていくのを抑える働きが強いため、作用の仕組みの違いによる相乗効果を期待して、他の解熱鎮痛成分と組み合わせて配合されることが多い。
▶️ 他の成分は「痛みの発生を抑える」、エテンザミドは「痛みの伝わりを抑える」。 担当する段階が違います。
そして、その結果が有名な組み合わせです。
例えば、アセトアミノフェン、カフェイン、エテンザミドの組合せは、それぞれの頭文字から「ACE処方」と呼ばれる。
🔴 ACE処方は語呂ではなく、頭文字です。 A=アセトアミノフェン、C=カフェイン、E=エテンザミド。なぜ組み合わせるのかまで、上の1文でつながっています。
③ アスピリン — 血を固まりにくくする
アスピリン(アスピリンアルミニウムを含む。)には血液を凝固しにくくさせる作用もあるため、胎児や出産時の母体への影響を考慮して、出産予定日12週間以内の使用を避ける。
▶️ 同じ性質が、医療用では目的になります。「医療用医薬品のアスピリンは、血栓ができやすい人に対する血栓予防薬の成分としても用いられている」。副作用として避ける側と、狙って使う側が同じ作用です。
⚠️ 手引きは、既にアスピリン製剤が処方されている場合について「一般用医薬品の解熱鎮痛薬を自己判断で使用することは避け」と書いています。
▶️ アスピリンは「他の解熱鎮痛成分に比較して胃腸障害を起こしやすく、アスピリンアルミニウム等として胃粘膜への悪影響の軽減を図っている製品もある」。まれに重篤な副作用として肝機能障害。
④ イブプロフェン — 消化管の既往歴と無菌性髄膜炎
アスピリン等に比べて胃腸への悪影響が少なく、抗炎症作用も示すことから、頭痛、咽頭痛、月経痛(生理痛)、腰痛等に使用されることが多い。
▶️ ただし消化管の既往歴には注意が要ります。「プロスタグランジンの産生を抑制することで消化管粘膜の防御機能を低下させるため、胃・十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎又はクローン病の既往歴がある人では、それら疾患の再発を招くおそれがある」。
🔴 無菌性髄膜炎はイブプロフェン固有です。 しかも条件が付きます。
まれに重篤な副作用として、肝機能障害、腎障害、無菌性髄膜炎を生じることがある。イブプロフェンは、全身性エリテマトーデス又は混合性結合組織病のある人において無菌性髄膜炎を生じやすいため……相談するなどの対応が必要である。
⑤ 生薬成分 — 共通の枠から丸ごと外れる
最後のズレがいちばん大きい部類です。
生薬成分が解熱又は鎮痛をもたらす仕組みは、化学的に合成された成分(プロスタグランジンの産生を抑える作用)と異なるものと考えられており、アスピリン等の解熱鎮痛成分の使用を避けなければならない場合にも使用できる。
▶️ 共通1枚の外側にいます。 ここまで積み上げた「基礎疾患4つ」「空腹時を避ける」といった注意が、そのままでは当てはまりません。
「効かない痛み」がはっきり書かれている
覚え方として効く否定文がもう1つあります。
月経痛(生理痛)は、月経そのものが起こる過程にプロスタグランジンが関わっていることから、解熱鎮痛薬の効能・効果に含まれているが、腹痛を含む痙攣性の内臓痛は発生の仕組みが異なるため、一部の漢方処方製剤を除き、解熱鎮痛薬の効果は期待できない。
▶️ 月経痛は効くのに、腹痛は効かない。 理由はプロスタグランジンが関わっているかどうかです。
🔴 「一部の漢方処方製剤を除き」という限定も付いています。全部が効かないわけではありません。
アルコールで名前が挙がる4成分
相互作用の節に、具体的な成分名が並びます。
アルコールの作用による胃粘膜の荒れがアスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、イソプロピルアンチピリン等による胃腸障害を増強するという事実が報告されている。また、アルコールにより、アセトアミノフェンによる肝機能障害も起こりやすくなる。
🔴 アセトアミノフェンがここに入っています。 上で「胃腸障害は少ない」と書かれていた成分ですが、アルコール側が胃粘膜を荒らす経路なので矛盾しません。そしてアセトアミノフェンだけ、肝機能障害の話が上乗せされます。
⚠️ カフェインについても否定文があります。「カフェイン類が配合されていても、必ずしも鎮静成分の作用による眠気が解消されるわけではない」。
ズレを言えるかは、解けば分かる
この節の問題は、共通の性質を1つの成分だけに付けるか、ズレを別の成分に付け替えるかで作られます。「アセトアミノフェンは末梢における抗炎症作用を示す」「エテンザミドは痛みの発生を抑える働きが中心である」——どちらも成分名は合っているので、ズレの側を持っていないと切れません。
ぴよパスでは登録販売者のオリジナル予想問題を章ごとに無料公開しています。
⚠️ ぴよパスの問題は本試験の再現ではなく、厚生労働省の手引きにもとづいて独自に作成した予想問題です。
まとめ
- 共通1枚+ズレで読む。手引きも「〜を除く」「〜に比べ」でズレを明示している
- 解熱は中枢のPG産生抑制+腎臓での水分再吸収→循環血流量増→発汗
- 基礎疾患4つ(心臓病・腎臓病・肝臓病・胃十二指腸潰瘍)は仕組みから導ける
- 「アスピリン喘息」はアスピリン特有ではない
- 🔴 アスピリン・サザピリンは「〜ピリン」でも非ピリン系。ピリン系は一般用ではイソプロピルアンチピリンだけ
- 「非ピリン系なら薬疹のおそれがない」は誤り
- 15歳未満は2段階。アスピリン等はいかなる場合も、エテンザミド・サリチルアミドは水痘・インフルエンザのとき
- イブプロフェンの15歳未満は「小児向けの製品はないため」(ライ症候群ではない)
- アセトアミノフェンだけ末梢の抗炎症が期待できない。空腹時に服用できる製品もあるが食後推奨
- エテンザミドだけ痛みの伝わりを抑える側。だから組み合わせる(ACE処方)
- 無菌性髄膜炎はイブプロフェン固有(全身性エリテマトーデス・混合性結合組織病で生じやすい)
- 生薬成分は仕組みが違うので、共通の枠から外れる
- 腹痛を含む痙攣性の内臓痛には効果が期待できない(一部の漢方処方製剤を除く)
出典
- 厚生労働省「登録販売者試験問題の作成に関する手引き(令和8年4月一部改訂)」第3章 主な医薬品とその作用 Ⅰ 精神神経に作用する薬 2 解熱鎮痛薬 — 解熱・鎮痛・抗炎症の仕組みと「(アセトアミノフェンの場合を除く。)」の記述、月経痛と痙攣性の内臓痛の差、基礎疾患(心臓・腎臓・肝臓・胃十二指腸潰瘍)と長期連用・飲酒に関する記述、化学的に合成された解熱鎮痛成分に共通する重篤な副作用とアスピリン喘息に関する記述、サリチル酸系解熱鎮痛成分とライ症候群(脚注73)・15歳未満の小児に対する取扱い、アスピリンの出産予定日12週間以内の回避と医療用における血栓予防薬としての使用、エテンザミドの作用の仕組みとACE処方、アセトアミノフェン(中枢作用・重篤な副作用・小児用坐薬)、イブプロフェン(消化管の既往歴・無菌性髄膜炎)、イソプロピルアンチピリン(ピリン系・脚注77・脚注78)、生薬成分、アルコールとの相互作用、カフェイン類に関する記述
- 同 第5章 別表「してはいけないこと」○小児における年齢制限 — 15歳未満の小児に係る成分と理由(ライ症候群の発症との関連性/一般用医薬品では小児向けの製品はないため)
編集部の見方:この節が難所とされるのは、成分ごとに注意が並んでいるからではなく、共通の性質とズレが混ざって記憶されるからだと考えています。原文は最初に共通の仕組みをまとめて述べ、そのあと各成分について「〜の場合を除く」「〜に比べ」「その分」「異なる」という語でズレを示す構成になっているので、その順に読み直すだけで整理できます。もう1つ、ピリン系の脚注は「覚え方」として例外的に効きます。名前の末尾で系統が引けないという事実は、知らなければ自力では気づきようがなく、しかも手引きが「一般の生活者では誤って認識していることも多い」と書いているぶん、出題側から見ても作りやすい形をしています。











