結論:4成分は「どの虫に、どうやって効くか」でぴったり割れる
⚠️ 探すときの注意: 駆虫薬は「腸の薬」の中ではなく、第3章 Ⅲ の「4 その他の消化器官用薬」に置かれています(浣腸薬の次)。腸の薬の節を探しても見つかりません。
駆虫薬は第3章の中でいちばん範囲が狭い節です。成分は4つしかありません。そして4つとも、手引きが対象の虫と作用の仕方をはっきり書き分けています。
| 成分 | 対象の虫 | どうやって効くか |
|---|---|---|
| サントニン | 回虫 | 自発運動を抑える |
| カイニン酸 | 回虫 | 痙攣を起こさせる |
| ピペラジンリン酸塩 | 回虫と蟯虫の両方 | アセチルコリン伝達を妨げて運動筋を麻痺させる |
| パモ酸ピルビニウム | 蟯虫 | 呼吸や栄養分の代謝を抑える |
▶️ ピペラジンリン酸塩だけが両方に効きます。 そしてその両端に、回虫だけの成分が2つ、蟯虫だけの成分が1つ並びます。
▶️ 回虫側の2つは、効かせ方が正反対です。サントニンは動きを抑え、カイニン酸は痙攣を起こさせる。どちらも結果は「虫体を排便とともに排出させる」で同じですが、途中が逆向きです。
🔴 ここを入れ替えた肢が定番です。「サントニンは回虫に痙攣を起こさせる」——対象は合っているので、作用の側まで見ないと切れません。
対象は2つだけ。それ以外は市販薬に存在しない
まず前提が1行で決まります。
一般用医薬品の駆虫薬が対象とする寄生虫は、回虫と蟯虫である。
そして手引きは、脚注で範囲外をはっきり書いています。
条虫(いわゆるサナダ虫など)や吸虫、鉤虫、旋毛虫、鞭虫等の駆除を目的とする一般用医薬品はない。 これらについては、医療機関を受診して診療を受けるなどの対応が必要である。
▶️ 「一般用医薬品はない」という書き方です。効かないのではなく、製品として存在しない。受診勧奨がそのまま結論になります。
⚠️ 虫の名前を並べた肢が出たら、回虫と蟯虫以外はすべて「対象外」で切れます。5つの名前(条虫・吸虫・鉤虫・旋毛虫・鞭虫)を覚える必要はありません。
2つの虫は、症状の出る場所が違う
同じ経路で感染するのに、出る症状が違います。ここも原文が理由まで書いています。
回虫 — 体を巡るので、消化器以外にも出る
孵化した幼虫が腸管壁から体組織に入り込んで体内を巡り、肺に達した後に気道から再び消化管内に入って成虫となる。そのため腹痛や下痢、栄養障害等の消化器症状のほか、呼吸器等にも障害を引き起こすことがある。
蟯虫 — 肛門の外に出て産卵するので、痒みが出る
肛門から這い出してその周囲に産卵するため、肛門部の痒みやそれに伴う不眠、神経症を引き起こすことがある。
▶️ 回虫は「肺に達する」から呼吸器症状。蟯虫は「肛門から出る」から痒みと不眠。 経路を1本覚えれば、症状は導けます。
🔴 「回虫で肛門部の痒み」「蟯虫で呼吸器障害」という入れ替えが作れる形です。
⚠️ どちらも手指や食物に付着した虫卵が口から入ることで感染します。感染経路は共通です。
「効かない相手」がこの節の核
駆虫薬でいちばん問われるのは、効く範囲の狭さです。
駆虫薬は腸管内に生息する虫体にのみ作用し、虫卵や腸管内以外に潜伏した幼虫(回虫の場合)には駆虫作用が及ばないため、それらが成虫となった頃にあらためて使用しないと完全に駆除できない。再度駆虫を必要とする場合には、1ヵ月以上間隔を置いてから使用することとされている。
▶️ 効かない相手が2つ明示されています。「虫卵」と「腸管内以外に潜伏した幼虫」。
▶️ そして、効かないからこそ1ヵ月以上あけて再度使うという手順になります。効かない範囲があることと、期間の数字が因果でつながっています。
🔴 「1ヵ月以上」は数字としてそのまま出ます。「2週間以上」等に置き換えた肢が作れます。
⚠️ 括弧の「(回虫の場合)」にも意味があります。体内を巡るのは回虫なので、潜伏した幼虫の問題は回虫側の話です。
増やしても効かない、が2回書かれている
この節には、「増やしても効果は高まらない」という趣旨の文が2つあります。しかも理由が別です。
| 何を増やすか | 手引きの記述 |
|---|---|
| 量・回数 | 一度に多く服用しても駆虫効果が高まることはなく、かえって副作用が現れやすくなるため、定められた1日の服用回数や服用期間を守る |
| 成分の種類 | 複数の駆虫薬を併用しても駆虫効果が高まることはなく、副作用が現れやすくなり、また、組合せによってはかえって駆虫作用が減弱することもある |
▶️ 2つ目の「かえって駆虫作用が減弱する」が効きます。併用は「無意味」ではなく、マイナスになりうると書かれています。
空腹時に使う理由は「吸収させたくないから」
駆虫薬の服用タイミングは、丸暗記ではなく理由から導けます。
駆虫薬はその有効成分(駆虫成分)が腸管内において薬効をもたらす局所作用を目的とする医薬品であり、消化管からの駆虫成分の吸収は好ましくない全身作用(頭痛、めまい等の副作用)を生じる原因となるため、極力少ないことが望ましい。食事を摂って消化管内に内容物があるときに使用すると、消化管内容物の消化・吸収に伴って駆虫成分の吸収が高まることから、空腹時に使用することとされているものが多い。
▶️ 狙いは腸管内での局所作用。吸収されると副作用になるだけ。 だから吸収を高める状況を避ける、という一本道です。
⚠️ 「されているものが多い」という書き方に注意してください。全部ではありません。実際、後述のパモ酸ピルビニウムが例外です。
ヒマシ油との併用は、駆虫薬全体の禁止
瀉下薬を併用する場面があるのですが、1つだけ名指しで避けるものがあります。
駆除した虫体や腸管内に残留する駆虫成分の排出を促すため瀉下薬が併用されることがあるが、ヒマシ油を使用すると腸管内で駆虫成分が吸収されやすくなり、副作用を生じる危険性が高まるため、ヒマシ油との併用は避ける必要がある。
▶️ 理由は上と同じ「吸収を高めるから」です。空腹時ルールとヒマシ油の禁止は、同じ1つの理由から出ています。
🔴 瀉下薬の併用そのものは否定されていません。 避けるのはヒマシ油です。「駆虫薬に瀉下薬を併用してはならない」という肢は誤りになります。
成分ごとの上乗せは、数が少ない
4成分の個別注意は、それぞれ1〜2点です。
サントニン — 肝臓で代謝される
消化管から吸収されたサントニンは主に肝臓で代謝されるが、肝臓病の診断を受けた人では、肝機能障害を悪化させるおそれがあるため、使用する前にその適否につき……相談がなされるべきである。 服用後、一時的に物が黄色く見えたり、耳鳴り、口渇が現れることがある。
▶️ 「物が黄色く見える」は印象に残る症状なので、そのまま出題されます。サントニンと結びつけて覚えてください。
カイニン酸 — 生薬の形もある
カイニン酸を含む生薬成分として、マクリ(フジマツモ科のマクリの全藻を基原とする生薬)が配合されている場合もある。日本薬局方収載のマクリは、煎薬として回虫の駆除に用いられる。
▶️ 基原(フジマツモ科・全藻)まで書かれているので、生薬の基原を問う形でも出ます。
ピペラジンリン酸塩 — 相談する人が最も多い
副作用として痙攣、倦怠感、眠気、食欲不振、下痢、便秘等が現れることがある。痙攣の症状のある人、貧血、著しい栄養障害の診断を受けた人では、それらの症状の悪化を招くおそれがあるため、また、肝臓病、腎臓病の診断を受けた人では、吸収されて循環血液中に移行したピペラジンが滞留して副作用を生じやすくなるおそれがあるため、……相談がなされるべきである。
▶️ 相談対象が2グループに分かれているのがポイントです。
- 症状の悪化を招くから:痙攣の症状のある人、貧血、著しい栄養障害
- 滞留して副作用を生じやすいから:肝臓病、腎臓病
🔴 副作用に「痙攣」があり、相談対象にも「痙攣の症状のある人」がいる——同じ語が両側に出るので、対応づけて覚えると崩れません。
パモ酸ピルビニウム — この節唯一の例外
赤〜赤褐色の成分で、尿や糞便が赤く着色することがある。水に溶けにくいため消化管からの吸収は少ないとされているが、ヒマシ油との併用は避ける必要がある。また、空腹時に服用することとなっていないが、同様の理由から、脂質分の多い食事やアルコール摂取は避けるべきである。
🔴 この成分だけ「空腹時に服用することとなっていない」と明記されています。上で見た「空腹時に使用することとされているものが多い」の「多い」に対応する例外がここです。
▶️ ただしヒマシ油は避けるし、脂質分の多い食事やアルコールも避ける。空腹時ルールが外れても、吸収を高めないという原則は生きています。
⚠️ 赤〜赤褐色で尿や糞便が赤く着色するのは、サントニンの「物が黄色く見える」と並べて覚えると混ざりません。色が出るのは2成分だけです。
家族全員という視点が1つだけ入っている
この節にはもう1つ、他では見ない記述があります。
回虫や蟯虫の感染は、その感染経路から、通常、衣食を共にする家族全員にその可能性があり、保健所等において虫卵検査を受けて感染が確認された場合には、一緒に駆虫を図ることが基本となる。
▶️ 感染経路(虫卵が口から入る)から、世帯単位で考えるという結論が出ています。保健所での虫卵検査という具体的な窓口も書かれているので、そのまま出題材料になります。
4成分の対応表が言えるかは、解けば分かる
この節は範囲が狭いぶん、対象の虫と作用の組み合わせを入れ替える以外に問題の作りようがありません。逆に言えば、その1点さえ潰せば得点源になります。
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⚠️ ぴよパスの問題は本試験の再現ではなく、厚生労働省の手引きにもとづいて独自に作成した予想問題です。
まとめ
- 対象は回虫と蟯虫の2つだけ。条虫・吸虫・鉤虫・旋毛虫・鞭虫の一般用医薬品はない
- サントニン=回虫の自発運動を抑える/カイニン酸=回虫に痙攣を起こさせる(逆向き)
- ピペラジンリン酸塩だけが回虫と蟯虫の両方。アセチルコリン伝達を妨げて運動筋を麻痺
- パモ酸ピルビニウム=蟯虫。呼吸や栄養分の代謝を抑える
- 回虫は肺に達するから呼吸器症状、蟯虫は肛門から出るから痒みと不眠
- 効かないのは虫卵と腸管内以外に潜伏した幼虫。だから1ヵ月以上あけて再度使う
- 量を増やしても、成分を併用しても効果は高まらない。併用はかえって減弱することもある
- 空腹時に使うのは吸収させたくないから。ヒマシ油との併用は避ける
- パモ酸ピルビニウムだけ空腹時ルールの例外。ただし脂質の多い食事とアルコールは避ける
- 色が出るのは2つ。サントニン=物が黄色く見える/パモ酸ピルビニウム=尿や糞便が赤く着色
- 感染は家族全員に可能性。保健所等の虫卵検査で確認されたら一緒に駆虫
出典
- 厚生労働省「登録販売者試験問題の作成に関する手引き(令和8年4月一部改訂)」第3章 主な医薬品とその作用 Ⅲ 胃腸に作用する薬 4 その他の消化器官用薬「2)駆虫薬」 — 対象となる寄生虫(回虫・蟯虫)と脚注(条虫・吸虫・鉤虫・旋毛虫・鞭虫を対象とする一般用医薬品はない旨)、回虫および蟯虫の感染経路と症状、腸管内の虫体にのみ作用し虫卵や潜伏した幼虫には及ばない旨と1ヵ月以上の間隔、家族全員での駆虫と保健所等での虫卵検査、一度に多く服用しても効果が高まらない旨、複数の駆虫薬の併用による効果の減弱、局所作用と吸収による全身作用のため空腹時に使用することとされているものが多い旨、ヒマシ油との併用回避、⚫代表的な駆虫成分・主な副作用((a)サントニン (b)カイニン酸とマクリ (c)ピペラジンリン酸塩 (d)パモ酸ピルビニウム)
- 同 第3章 Ⅲ 胃腸に作用する薬 2 腸の薬「3)相互作用、受診勧奨」 — 駆虫薬と瀉下薬の併用、ヒマシ油との併用を避ける旨(駆虫薬の節と同趣旨の記述がこちらにもある)
編集部の見方:第3章の中でここだけは、覚える量に対して構造が異常にはっきりしています。成分が4つ、対象の虫が2つ、作用の書き分けが4通り。しかも「効かない相手」「増やしても効かない」「吸収させたくない」という3つの否定が、そのまま出題の骨格になっています。とくに空腹時ルールとヒマシ油の禁止は、どちらも「吸収を高めない」という同じ理由から出ているので、片方を覚えればもう片方が導けます。パモ酸ピルビニウムが空腹時ルールの例外である一方、ヒマシ油と脂質の多い食事は避けるという書き方も、原則が生きていることの裏返しです。範囲が狭いので、後回しにせず先に取り切るのが得です。











