ビジネス著作権検定の対策で最初にぶつかるのは、知識ではなく演習量です。
実施団体である株式会社サーティファイが無料で公開している問題は、公式サイト上のサンプル 5 問だけ。請求すれば BASIC・初級・上級それぞれ 1 回分のサンプル問題 PDF が届きますが、回ごとの過去問アーカイブは公開されていません。
本番は初級が 30 問、上級が 40 問です。過去問を無料でまとめて解ける試験ではない、というのがこの検定の出発点になります。
合格基準は級で違う — 65% と 70%
| 出題数 | 試験時間 | 合格基準 | 受験料(税込) | |
|---|---|---|---|---|
| BASIC(団体受験のみ) | 25 問 | — | 得点率 65% 以上 | — |
| 初級 | 30 問 | 60 分 | 得点率 65% 以上 | 5,800 円 |
| 上級 | 40 問 | 90 分 | 得点率 70% 以上 | 8,700 円 |
科目別の足切りはなく、全体の得点率だけで決まります。落とせる問題数に直すと、初級は 30 問中 10 問まで、上級は 40 問中 12 問までです。
ここで注意したいのは、同じ 27 問正解でも級によって結果が逆になることです。上級で 40 問中 27 問は 67.5% なので不合格ですが、この得点率は初級の基準 65% は超えています。級ごとに基準が違う試験では、練習の段階から「どちらの基準で測っているか」を意識しておく必要があります。
合格率は 2025 年度平均で 70.5%、累計受験者数は 2026 年 3 月 31 日時点で 97,069 名です。
公式の出題範囲表が、そのまま学習の設計図になる
この検定が対策しやすいのは、公式が出題範囲を 3 階層で全部公開しているからです。
大項目 → 中項目 → 小項目まで表になっていて、しかも小項目ごとに初級で出るか・上級で出るかが印で示されています。何を勉強すればいいかを推測する必要がありません。
大項目は 14 あります。
- ビジネスと法(契約・著作権と所有権・知的財産権)
- 著作物
- 著作者
- 著作者人格権
- 著作権(支分権)
- 著作権の制限
- 著作物の保護期間
- 著作権の変動と著作物の利用
- 著作権の登録
- 著作隣接権
- 著作権の侵害と救済
- 著作権の周辺問題
- 著作権・著作隣接権に関する国際条約等
- 著作権ビジネス
⚠️ 出題範囲表には「初級の(-)表記は、該当項目に関する問題が出題されないという意味ではなく、そのテーマに関する深い知識を求める問題は出題されないということを示しています」という注記があります。(-)を「範囲外」と読まないことが重要です。
ぴよパスの 375 問は 11 カテゴリに分けてある
ビジネス著作権検定の練習問題は、オリジナルの予想問題を 375 問公開しています。上の 14 大項目を、学習単位として扱いやすい 11 カテゴリに再編しました。
| カテゴリ | 問題数 | 対応する大項目 |
|---|---|---|
| ビジネスと法・知的財産権 | 28 問 | 1 |
| 著作物 | 38 問 | 2 |
| 著作者・職務著作 | 32 問 | 3 |
| 著作者人格権 | 32 問 | 4 |
| 著作権(支分権) | 40 問 | 5 |
| 著作権の制限①(私的使用・教育・図書館) | 36 問 | 6 前半 |
| 著作権の制限②(引用・非営利・その他) | 39 問 | 6 後半 |
| 保護期間・権利の変動・登録 | 36 問 | 7〜9 |
| 著作隣接権 | 32 問 | 10 |
| 著作権の侵害と救済 | 32 問 | 11 |
| 周辺問題・国際条約・著作権ビジネス | 30 問 | 12〜14 |
本試験の過去問ではなく、出題範囲から独自に作成したオリジナル予想問題です。
解説には条文の番号を入れてある
この検定の内容は、ほぼ全部が著作権法 1 本に接地しています。だから解説に条番号を書いておけば、間違えたときに戻る先がその場で分かります。
- 「著作物とは何か」で詰まったら第 2 条第 1 項第 1 号
- 「職務著作の要件」なら第 15 条
- 「引用の要件」なら第 32 条第 1 項
- 「保護期間」なら第 51 条から第 54 条
- 「支分権の種類」なら第 21 条から第 28 条
条文は e-Gov 法令検索で全文が無料で読めます。教材を買わなくても一次資料に当たれるのが、この検定の学習で一番大きい利点です。
問題は e-Gov 法令 API から取得した条文をもとに作成し、引用している条番号 381 件はすべて実在を機械的に確認しています。
条文で書けないのは 3 か所だけで、いずれも 周辺問題・国際条約・著作権ビジネス に寄せてあります。契約(民法)、肖像権とパブリシティ権(判例法理)、著作権ビジネス(著作権等管理事業法と実務慣行)です。このカテゴリだけは条文ではなく判例と条約が根拠になります。
覚えるべきは「数字と例外」
条文を通して読むと、狙われる箇所の性格が見えてきます。制度の趣旨ではなく、数字と例外です。
- 保護期間は原則が著作者の死後 70 年。無名変名・団体名義・映画は公表後 70 年
- 保護期間の計算は暦年主義で、死亡や公表の翌年から起算する
- 私的使用は「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内」。企業内は入らない
- 引用は「公表された著作物」であることが前提。明瞭区別性と主従関係が要る
- 著作隣接権の保護期間は実演とレコードが 70 年、放送と有線放送は 50 年
- 著作権の譲渡契約では第 27 条・第 28 条を特掲しないと譲渡人に留保されたと推定される
こうした箇所は読んでいる最中は分かった気になりますが、1 週間後にはまず残っていません。ここが演習の要るところです。
60 分・90 分をどう使うか
初級は 30 問 60 分なので 1 問あたり 2 分、上級は 40 問 90 分で 1 問あたり 2 分 15 秒です。多肢選択式としては余裕がある配分に見えますが、上級は複数の項目が関係する事例問題が混ざるため、条文の知識で即答できる問題を巻いて事例に時間を回す形になります。
公開試験はリモート Web テストによる在宅・在社受験です。初級は 10 時から 12 時の間、上級は 13 時から 15 時の間の好きな時点から開始でき、開始時刻から所定の試験時間が計測されます。時間が重ならないよう調整できれば同じ日に両方受験することもできます。次回の公開試験は 2026 年 11 月 8 日(日)で、申込締切は試験実施日の 1 週間前です。
一巡してから何を見るか
375 問を一巡したら、カテゴリ別の正答率を並べます。この検定には科目別の足切りがないので、弱いカテゴリを潰さなくても他で取り返せば合格できます。裏を返すと、時間が限られているなら得点効率の高いところから埋めるのが合理的です。
ただし目標は 65%/70% ちょうどではなく、両級とも 80% 前後に置くのが安全です。初級で 30 問中 20 問だと 66.7% で、合格ラインをわずか 1 問超えているだけの状態になります。当日 2 問ぶん運が悪いだけで崩れます。
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