個人情報保護士認定試験が独学しやすいのは、範囲の接地先がほぼすべて無償で公開されているからです。
課題Ⅰ「個人情報保護法とマイナンバー法の理解」は法令そのもの。課題Ⅱ「個人情報保護の対策と情報セキュリティ」は、個人情報保護委員会のガイドラインと IPA の公開資料。どちらも登録も購入も要りません。
有料の教材が必要になるのは、知識ではなく演習量を調達するときです。ここを取り違えると、無料で足りるところに課金し、課金が必要なところを無料で済ませようとして詰まります。
課題Ⅰ は条文の並び順がそのまま学習順になる
公式の出題範囲を見ると、課題Ⅰ は 11 編に分かれています。この 11 編は個人情報保護法の条文構造そのもので、編と条が素直に対応します。
| 出題範囲の編 | 主な条文 |
|---|---|
| 総説・基本法部分 | 第 1〜15 条(目的・定義・基本理念・国と地方の責務) |
| 個人情報に関する義務 | 第 17〜21 条(利用目的の特定・不適正利用の禁止・適正取得・通知公表) |
| 個人データに関する義務 | 第 22〜26 条(正確性の確保・安全管理措置・従業者と委託先の監督・漏えい等の報告) |
| 個人関連情報に関する義務 | 第 31 条 |
| 保有個人データに関する義務 | 第 32〜39 条(公表事項・開示・訂正・利用停止) |
| 仮名加工情報 | 第 41〜42 条 |
| 匿名加工情報 | 第 43〜46 条 |
| 実効性を担保する仕組み | 第 130 条〜(個人情報保護委員会)・第 176 条〜(罰則) |
| 行政機関等における取扱い | 第 5 章 第 60 条〜 |
| マイナンバー法 | 番号法 全 86 条 |
だから課題Ⅰ は、条文を第 1 条から順に読むだけで出題範囲を上から下まで舐められます。e-Gov 法令検索で全文が読めます。
読む版には注意してください。マイナンバー法には令和 8 年法律第 12 号「所得税法等の一部を改正する法律」による 2026 年 4 月 1 日施行の改正が入っています。e-Gov は施行日を指定して版を切り替えられるので、受験する回の基準日に合わせます。解説記事や古い版の教材の数字をそのまま覚えると、条文と食い違うことがあります。
覚えるべきは「数字と例外」
条文を読んでいくと、試験で狙われる箇所の性格が分かってきます。制度の趣旨ではなく、数字と例外です。
- 第三者提供の記録は何年保存するのか
- 漏えい等の報告は誰に、いつまでに、何を
- 本人の同意なく第三者提供できるのはどの場合か
- 保有個人データの公表事項に何が含まれるか
- 開示請求に応じなくてよいのはどの場合か
こうした箇所は読んでいる最中は分かった気になりますが、1 週間後にはまず残っていません。ここが演習量の要るところです。
課題Ⅱ はガイドラインの 4 分類が骨格
課題Ⅱ の出題範囲は「脅威と対策」「組織的・人的セキュリティ」「オフィスセキュリティ」「情報システムセキュリティ」の 4 編です。
これは個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)が示す安全管理措置の 4 分類と、ほぼそのまま対応しています。
| 出題範囲 | ガイドライン上の対応 |
|---|---|
| 組織的・人的セキュリティ | 組織的安全管理措置・人的安全管理措置 |
| オフィスセキュリティ | 物理的安全管理措置 |
| 情報システムセキュリティ | 技術的安全管理措置 |
ガイドラインの通則編には、それぞれの措置の具体例が列挙されています。入退室管理、機器や媒体の持ち運び、アクセス制御、暗号化——課題Ⅱ で問われる具体的な対策は、多くがここに出典があります。暗記対象として眺めるのではなく、出典から辿れる知識として扱えるのが独学の強みです。
「脅威と対策」の部分はガイドラインの守備範囲を少し外れるので、IPA が公開している資料で補います。
なお、JIS Q 15001(プライバシーマークの規格)の規格本文は自由に読めません。この試験のために買う必要もありません。
学習の組み方 — 測ってから始める
独学でいちばん失敗しやすいのは、測る前に始めることです。
この試験の合格基準は「課題Ⅰ・課題Ⅱ 各課題 正答率 70% 以上」で、総合点ではありません。課題Ⅰ を 100% にしても課題Ⅱ が 68% なら不合格です(詳しくはこちら)。
そして得意な側は勉強していて楽しいので、放っておくと時間を吸い込みます。得意な側に使った時間は、合否に対しては効果がゼロです。
だから順番はこうなります。
- 両課題の正答率を測る(ここが起点。総合点は見ない)
- 低いほうの課題に時間を寄せる
- 両方が 80% を超えたら通しで測る(70% ちょうどは当日の揺れを吸収できない)
法務・総務の人は課題Ⅱ に、情報システムの人は課題Ⅰ に時間が偏るのが自然です。偏っていることが正しい状態で、均等配分のほうがむしろ非効率です。
演習をどこから調達するか
一次資料が無償で読める一方、演習量だけは無料で降ってきません。
実施団体が公開している問題は参考問題 1 セット・計 24 問(課題Ⅰ 15 問 + 課題Ⅱ 9 問)だけで、回ごとのアーカイブはありません。本番は 100 問 150 分なので、公式だけでは通しで 1 回も解けない計算です。
選択肢は 2 つあります。市販の公式問題集を買うか(教材の選び方)、オンラインの練習問題を使うかです。
個人情報保護士の練習問題は 476 問を公開しています。課題Ⅰ に 325 問・課題Ⅱ に 151 問で、解説には条文の番号を入れてあるので、間違えたら e-Gov のその条にそのまま戻れます。上の「数字と例外」を潰す用途に合わせた作りです。本試験の過去問ではなく、出題範囲から独自に作成したオリジナル予想問題です。
各カテゴリ 5 問までは登録不要で解けます。全問と、本番と同じ 100 問 150 分の通し模試、期日つきの復習はプレミアム(月額 480 円)です。
直前にやること
第 84 回は令和 8 年 9 月 27 日(日)10 時 00 分〜12 時 45 分。試験時間 150 分に対して枠が 165 分あるのは説明の時間が含まれるためです。
直前 1 週間でやることは 2 つに絞れます。
① 100 問を通しで 1 回解く。時間配分は本番前に必ず一度体験しておきます。目安は課題Ⅰ 60 分・課題Ⅱ 75 分・見直し 15 分。課題Ⅰ のほうが即答できる問題の比率が高いので、ここを巻いて課題Ⅱ に時間を渡します。
② 数字だけを見直す。期限・年数・報告先・例外の要件。理屈は本番で立て直せますが、数字は思い出せなければそれまでです。
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