結論:課題Ⅱは「範囲が狭くて配点が同じ」なので、先にここを固める
個人情報保護士認定試験は100問・150分で、内訳は課題Ⅰ 50問・課題Ⅱ 50問です。合格基準は各課題それぞれ正答率70%以上。
つまり半分は情報セキュリティの試験です。「個人情報保護士」という名前から法律の試験だと思って申し込むと、ここで詰まります。
そして、この構造には有利な非対称があります。
| 課題Ⅰ 個人情報保護法とマイナンバー法 | 課題Ⅱ 個人情報保護の対策と情報セキュリティ | |
|---|---|---|
| 出題 | 50問 | 50問(同じ) |
| 大項目 | 2 | 4 |
| 小項目 | 32 | 23 |
| 1小項目あたりの出題 | 約1.6問 | 約2.2問 |
範囲が狭いのに配点が同じ。1つの小項目を潰したときに返ってくる点数が、課題Ⅱのほうが約1.4倍大きいということです。
▶️ 仕上げる順番は「課題Ⅱ → 課題Ⅰ」が効率的です。多くの人が逆をやります。
課題Ⅱは4つの編でできている
実施団体が公表している課題Ⅱの範囲は次の4編です。
| 編 | 中身 |
|---|---|
| 脅威と対策 | 個人情報保護対策の流れ/情報セキュリティに関する規範/情報セキュリティの定義/リスク分析における情報セキュリティリスクの要素/リスクマネジメント/リスク分析/リスク対応/ソーシャルエンジニアリング |
| 組織的・人的セキュリティ | 個人情報保護の推進体制/規程文書、個人情報の特定と分類/監査・改善/従業者の管理/委託先の選定・契約・監督・評価 |
| オフィスセキュリティ | 入退出管理/オフィス内外での対策/災害対策/バックアップとリストア/その他の技術・知識 |
| 情報システムセキュリティ | ユーザID・パスワード管理/不正アクセスに対する防御策/無線LANへの対策/暗号化/その他の技術・知識 |
「脅威と対策」だけが8項目で、残りの3編は5項目ずつです。ここが課題Ⅱの重心になります。
⚠️ 各編に何問出るかは公表されていません。上の項目数は範囲の目安であって、出題数の配分ではありません。
先に「脅威と対策」を固める理由
課題Ⅱのうち、他の3編の土台になるのが「脅威と対策」です。ここは用語の定義と手続きの順序が中心で、暗記というより理解で処理できます。
具体的には次の3つを押さえると、残りが速くなります。
① 情報セキュリティの定義 機密性・完全性・可用性という3要素の言い換えを正確に押さえます。「誰に見せるか(機密性)」「壊れていないか(完全性)」「使いたいときに使えるか(可用性)」の対応です。この3語は課題Ⅱのほぼ全編に顔を出します。
② リスクマネジメントの流れ リスク分析 → リスク対応、という順序と、それぞれの中身。リスク対応の選択肢(低減・回避・移転・保有)は、どれがどの状況に当たるかを問われます。「保険に入る=移転」「やめる=回避」のように、行為とラベルを結び付けておきます。
③ ソーシャルエンジニアリング 技術的な攻撃ではなく人を騙す手口です。なりすまし電話、肩越しの覗き見(ショルダーハック)、ゴミの持ち出し(トラッシング)など。技術対策では防げない、というのが出題の意図です。
この3つを固めると、「オフィスセキュリティ」や「情報システムセキュリティ」の各対策が「どのリスクに対する、どの対応か」として整理できます。バラバラの対策リストとして覚えないでください。
「オフィスセキュリティ」は物理、「情報システムセキュリティ」は論理
課題Ⅱの後半2編は、対になっています。
| オフィスセキュリティ | 情報システムセキュリティ | |
|---|---|---|
| 守る対象 | 場所と物 | データと通信 |
| 例 | 入退出管理、施錠、クリアデスク、災害対策 | ユーザID・パスワード、不正アクセス防御、無線LAN、暗号化 |
「人が入ってくる経路をふさぐのが前者、データが出ていく経路をふさぐのが後者」と分けると、対策が混ざりません。バックアップとリストアがオフィスセキュリティ側にあるのは、災害対策の文脈で扱われるためです。
⚠️ 情報システムセキュリティは、IT系の資格を持っている人ほど油断します。暗号化や無線LANは基本情報技術者などと重なりますが、この試験では「個人情報を守るための手段として」問われます。技術的な深さより、どの場面でどれを使うかの対応関係が中心です。
課題Ⅱの接地先は無料で読める
課題Ⅱの中身は公式テキストに載っていますが、接地先そのものは公開資料です。
- 個人情報保護委員会のガイドライン(通則編の「安全管理措置」は、組織的・人的・物理的・技術的の4分類で書かれており、課題Ⅱの骨格とほぼ一致します)
- IPA(情報処理推進機構)の公開資料(情報セキュリティの用語・脅威の分類)
▶️ ガイドラインの「安全管理措置」4分類を先に読むと、課題Ⅱの4編がどこに対応するかが一目で分かります。 独学の入口としてはここが最短です。
課題Ⅰを捨てられないことも確認しておく
課題Ⅱから始めるのは順番の話であって、課題Ⅰを軽くしてよいという意味ではありません。各課題70%の足切りがあるので、課題Ⅰで35問取れなければ、課題Ⅱが満点でも不合格です。
課題Ⅰの中身と学習順は独学ルートの記事にまとめています。
時間配分は「150分・100問」から逆算する
150分で100問なので、1問あたり1分30秒です。課題Ⅰの条文問題は読む量が多く、課題Ⅱは短文が多い傾向があります。
現実的には、課題Ⅱを速く終わらせて、余った時間を課題Ⅰの長文に回す配分になります。演習の段階から「課題Ⅱは1問1分」を目標にしておくと、本番で慌てません。
なお受験方法は3つあり、公開会場(追加費用0円)/CBT(+1,500円)/オンラインIBT(+3,000円)から選べます。オンラインIBTは360度全周Webカメラを取り寄せて自宅で受ける方式で、送料が実費としてかかります。
課題Ⅱだけを続けて解く
課題Ⅱは範囲が狭いぶん、同じ範囲を繰り返し解く効果が出やすい分野です。ぴよパスでは個人情報保護士の練習問題476問をカテゴリ別に無料公開しており、課題Ⅱに当たるカテゴリだけを続けて解けます。
- 個人情報保護士の練習問題(課題Ⅰ 5カテゴリ・課題Ⅱ 2カテゴリ)
⚠️ カテゴリごとの問題数は、実際の出題配分ではなく学習しやすさで分けたものです。模擬試験のほうは本番と同じ課題Ⅰ50問・課題Ⅱ50問で構成し、課題別70%で判定します。
まとめ
- 個人情報保護士は100問150分で、うち50問が情報セキュリティ
- 課題Ⅱは小項目23個で50問。課題Ⅰ(32個で50問)より1項目あたり約1.4倍濃い
- したがって課題Ⅱから固めるほうが効率的
- 課題Ⅱの重心は「脅威と対策」の8項目。機密性・完全性・可用性/リスク対応の4分類/ソーシャルエンジニアリング
- 後半2編は「オフィス=物理、情報システム=論理」で分ける
- 接地先は個人情報保護委員会のガイドラインとIPAの公開資料で無料
- ただし各課題70%の足切りがあるので、課題Ⅰを捨てることはできない
出典
- 一般財団法人 全日本情報学習振興協会「個人情報保護士認定試験」試験概要(問題数100問・課題Ⅰ課題Ⅱ各50問・150分/合格基準 各課題正答率70%以上/受験料と受験方法別費用)
- 同 個人情報保護士 SMART合格講座 講座内容(課題Ⅰ・課題Ⅱの大項目と小項目の一覧)
- 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」安全管理措置
編集部の見方:実施団体が公開している講座シラバスの項目を数えたところ、課題Ⅰが32小項目、課題Ⅱが23小項目でした。出題はどちらも50問なので、1項目あたりの重みは課題Ⅱのほうが大きくなります。各編に何問出るかは公表されていないため、この記事では項目数のみを根拠にしており、出題配分としては扱っていません。









