QC検定2級の実験計画法は、分散分析表の空欄を埋めさせる形で出ます。平方和の数値そのものが与えられていて、自由度・平均平方・分散比を埋める、という形式です。
このとき止まるのは、たいてい自由度の欄です。平方和は与えられ、平均平方は平方和÷自由度、分散比は平均平方の比なので、自由度さえ数えられれば残りは割り算だけになります。
だから対策の順序は、公式の暗記ではなく自由度の数え方から入るのが早いです。
分散分析表の構造は毎回同じ
どの配置でも、表の骨格は変わりません。
| 要因 | 平方和 S | 自由度 φ | 平均平方 V | 分散比 F0 |
|---|---|---|---|---|
| 要因A | SA | φA | SA÷φA | VA÷Ve |
| 誤差 e | Se | φe | Se÷φe | — |
| 合計 T | ST | φT | — | — |
平均平方は平方和を自由度で割った値、分散比は要因の平均平方を誤差の平均平方で割った値です。ここを取り違える形も出題されるので、「平方和どうしを割る」ではないことを押さえてください。
分散比が大きいほど、その要因による変動が誤差に比べて大きいことになります。F分布の限界値と比べて有意かどうかを判定します。
一元配置の自由度:3つの数字だけ
因子を1つだけ取り上げる配置です。水準数をa、各水準の繰り返し数をrとします。
- 総自由度 φT = ar − 1
- 因子Aの自由度 φA = a − 1
- 誤差の自由度 φe = φT − φA
たとえば水準数4、各水準の繰り返し5なら、総データ数は20なので φT = 19、φA = 3、φe = 19 − 3 = 16 です。
誤差の自由度は引き算で出すと決めてしまうのが安全です。各水準で繰り返しの自由度が (5−1)=4 ずつ生じて 4×4=16、と数えても同じ値になりますが、二元配置になると引き算のほうが確実です。
二元配置の自由度:交互作用は「積」
因子Aがa水準、因子Bがb水準、各組合せの繰り返しをr回とします。
| 要因 | 自由度 |
|---|---|
| A | a − 1 |
| B | b − 1 |
| A×B(交互作用) | (a−1)(b−1) |
| 誤差 e | 引き算 |
| 合計 | abr − 1 |
交互作用の自由度は各因子の自由度の積です。a=3、b=4、r=2 なら、A=2、B=3、A×B=2×3=6、総自由度は 3×4×2−1=23 なので、誤差は 23−(2+3+6)=12 になります。
ここを「A×Bの自由度は a×b」と覚えていると全部ずれるので、積になるのは自由度どうしだという点だけ確実にしてください。
繰り返しがないと交互作用は求まらない
r=1、つまり各組合せを1回しか測らない設計を考えてみます。総自由度は ab−1 です。A、B、A×B の自由度を足すと (a−1)+(b−1)+(a−1)(b−1) = ab−1 となり、総自由度をちょうど使い切ってしまいます。
つまり誤差の自由度が0になり、分散比が作れません。
これは計算上の偶然ではなく、実験の設計そのものの帰結です。同じ条件で繰り返していないので、同じ条件でのばらつき=誤差を観測していないからです。そのため、繰り返しのない二元配置では交互作用が無視できると仮定して、交互作用の欄を誤差に含めて解析します。
「なぜ繰り返しが必要か」の答えがここにあります。 繰り返しは精度を上げるためというより、誤差を推定可能にするためにあります。
交互作用があるとは、どういう状態か
交互作用とは、一方の因子の効果が、もう一方の因子の水準によって変わる状態です。
たとえば「温度を上げると強度が上がる」という関係が、材料Aでは成り立ち材料Bでは逆になる、という場合です。このとき「温度の効果」を単独で語ることができません。
実務上の意味はこうです。交互作用があると、各因子の最適水準を別々に決めて組み合わせる、という決め方ができなくなります。 組合せごとに評価する必要があります。だから交互作用の有無は、実験の結論そのものを左右します。
フィッシャーの三原則:それぞれ役割が違う
出題では「無作為化の目的はどれか」という形で、原則ごとの役割を分けて問われます。
| 原則 | 目的 |
|---|---|
| 無作為化 | 取り上げていない要因(時間経過・測定順序など)の影響が特定の水準にかたよらないようにし、偶然誤差として扱えるようにする |
| 繰り返し(反復) | 誤差の大きさを見積もり、要因の効果と比較できるようにする |
| 局所管理 | 実験の場をブロックに分け、ブロック内の条件をそろえて誤差を小さくする |
3つとも誤差にかかわる原則ですが、かかわり方が違います。 無作為化は誤差の性質を整え、繰り返しは誤差を測れるようにし、局所管理は誤差を小さくします。
水準の決め方も出題されます。技術的に意味があり、実際に採用しうる範囲で設定するのが原則です。採用できない極端な条件を並べても、結論を工程に適用できません。一方で水準の差が小さすぎると効果を検出できないので、技術的な見通しが必要になります。
有意になったあとにもう1段ある
分散分析で分散比が有意になっても、分かるのは「水準の間のどこかに差がある」ことまでです。どの水準どうしに差があるかは、その後の推定や多重比較で確かめます。
ここは「すべての水準間に差があると判断できる」という誤った選択肢が並ぶ形でよく出ます。
ちなみに、水準ごとに2群ずつ取り出してt検定を繰り返すのが良くない理由も、2級の範囲でつながっています。各回で第1種の誤りを5%許しているので、繰り返すと少なくとも1回誤って有意とする確率が積み上がるからです。多くの水準を比べたいときに分散分析を使うのは、この多重性を避けるためでもあります。この論点は検定と推定の考え方の側と地続きです。
単回帰分析も「分散の分解」で同じ形
2級では単回帰分析でも分散分析を使います。yの全変動を、回帰によって説明できる変動と残差による変動に分解し、その比をF分布で判定するという構造は、実験計画法とまったく同じです。
寄与率(決定係数)は、全変動のうち回帰で説明できる割合です。単回帰では相関係数の2乗に等しくなります。相関係数0.8なら寄与率は0.64で、yの変動の約36%は回帰では説明できていないことになります。
回帰診断(残差の検討)では、残差に傾向やかたよりがなく、ばらつきが一定かを見ます。残差に曲線的な傾向が残っていれば、直線では説明しきれない関係があるという合図です。
「分散を要因と誤差に分ける」という一つの考え方が、実験計画法と回帰分析の両方を支えていると捉えると、覚える量が半分になります。
演習の順序
- 分散分析表の骨格(平均平方=平方和÷自由度、分散比=平均平方の比)
- 一元配置の自由度(水準数−1、残りは引き算)
- 二元配置の自由度(交互作用は積、繰り返しなしでは求まらない)
- フィッシャーの三原則(それぞれの目的を区別する)
- 単回帰の分散分析と寄与率(同じ構造だと気づく)
QC検定2級の練習問題では、実験計画法・相関分析・単回帰分析を1つの分野として25問にまとめてあります。自由度を数える問題と、考え方を問う問題の両方を含めているので、どちらでつまずいているかを分けて確認できます。
なお実験計画法は手法分野です。2級は手法分野・実践分野それぞれで概ね50%以上という足切りがあるため、ここを空欄にしたまま実践分野で取り返すことはできません。範囲の差分がなぜ手法側に偏るのかは2級と3級の違いにまとめています。











