QC検定2級では管理図が6種類に増えます。種類が増えると難しく感じますが、選び方は3つの質問で機械的に決まります。覚えるのではなく、判定表を作れるようにするのが早道です。
3級で扱うのはX̄−R管理図とp・np管理図まで。2級ではX̄−s管理図・X管理図・u管理図・c管理図が加わります(2級と3級の範囲差分)。
3つの質問で管理図が決まる
質問1:計量値か、計数値か
- 計量値(長さ・重さ・温度など、測って得る連続量)→ X̄−R、X̄−s、X
- 計数値(個数を数えて得る値)→ p、np、u、c
質問2(計量値の場合):群が作れるか
| 状況 | 管理図 |
|---|---|
| 群の大きさが小さい(おおむね2〜5) | X̄−R |
| 群の大きさが大きい | X̄−s |
| 1回に1個しかデータが取れず群が作れない | X(個々の測定値) |
群が大きくなると、範囲Rは最大値と最小値しか使わないためばらつきの情報を十分に使えません。そこで標準偏差sを使うX̄−s管理図が適します。
X管理図は化学プロセスのように1回の測定でしか値が得られない場合に使います。群内変動が計算できないので、隣り合うデータの差である移動範囲をばらつきの目安にします。ただし工程が緩やかに変化する場合、この推定は過大になることがあります。
質問3(計数値の場合):何を数えたか × 群の大きさは一定か
| 群の大きさが一定 | 群の大きさが変動 | |
|---|---|---|
| 不適合品の個数(何個が不良か) | np管理図 | p管理図(率に直す) |
| 不適合数(いくつ傷があるか) | c管理図 | u管理図(単位あたりに直す) |
「不適合品数」と「不適合数」の違いが分かれ目です。 1個の製品に傷が3つあっても不適合品は1個ですが、不適合数は3です。1個に複数の欠点がありうるかどうかで判断してください。
そして群の大きさが変動する側(p・u)では、管理限界の幅が群ごとに変わります。p管理図なら√(p̄(1−p̄)/n) で計算されるので、nが小さい群ほど幅が広くなります。中心線は共通です。ここは「なぜ限界線がギザギザなのか」という形で問われます。
管理限界と規格限界は別物
| 何から決まるか | 意味 | |
|---|---|---|
| 管理限界 | 工程のばらつき | 工程が安定しているときの偶然のばらつきの幅 |
| 規格限界 | 製品への要求 | 顧客・設計が求める許容範囲 |
管理図に規格限界を書き込まないのが原則です。 書き込むと、規格内なのに管理限界を外れた点を「まだ規格内だから大丈夫」と見過ごしたり、逆に規格外の点だけに反応したりします。
管理状態にあるということは、偶然原因によるばらつきだけが現れている状態を指します。これは「不適合品が1個も出ていない」という意味でも「すべてが規格内」という意味でもありません。管理状態でも工程能力が不足していれば不適合品は出ます。 ここは頻出の論点です。
異常判定:限界内でも異常はある
点が管理限界を外れたら異常、というのは分かりやすい判定です。2級ではその先が問われます。
限界の内側でも、偶然では起こりにくい並び方が現れたら異常原因を疑います。
- 連:中心線の片側に点が連続して並ぶ → 工程平均がずれたことを示唆
- 傾向:点が上がり続ける/下がり続ける → 摩耗や劣化などの進行を示唆
「点が中心線の近くに集まる」「点が上下に交互に並ぶ」も本来は不自然な並びですが、まず押さえるのは連です。
群の分け方が管理図の生死を決める
管理限界は群内変動から計算されます。したがって原則はこうです。
群内には偶然原因だけが入り、群間に異常原因の差が現れるように分ける
群内に異常原因が混じると、管理限界の幅が広がって異常を検出できなくなります。たとえば複数のラインの製品を1つの群に混ぜると、ライン間の差が群内変動として吸収され、限界が広がります。この合理的な群分けが管理図の要です。
解析用と管理用:順序が逆だと機能しない
| 目的 | |
|---|---|
| 解析用管理図 | 工程が管理状態にあるかを調べる |
| 管理用管理図 | 決めた限界で工程を維持する |
まず解析用で異常原因を取り除いて管理状態にし、そのときの限界を管理用に引き継ぐのが正しい順序です。逆にすると、乱れた工程の広い限界でずっと管理し続けることになります。
限界を引き直すのは、工程に恒久的な改善や条件変更を行い、ばらつきの水準が変わったときだけです。点が外れるたびに引き直すのは、異常を検出しない仕組みを作っているのと同じです。
工程能力指数:CpとCpkの差が意味すること
Cp = (上限規格 − 下限規格) ÷ 6σ — かたよりを考えない、ばらつきだけの指標 Cpk = (平均から近いほうの規格までの距離) ÷ 3σ — かたよりを考慮した指標
数字で見ると差が分かります。
上限規格60、下限規格40、σ=2.5 のとき - 平均が50(中心)なら Cp = 20 ÷ 15 ≒ 1.33 / Cpk も 1.33 - 平均が55なら Cp は 1.33 のまま / Cpk = 5 ÷ 7.5 ≒ 0.67
ばらつきは同じでも、平均が中心からずれるとCpkは半分になります。 そして評価は「1.33以上で十分、1.00以上1.33未満はまずまずだが管理を要する、1.00未満は不足」が一般的な目安なので、この工程はCpでは十分、Cpkでは不足と判定が割れます。
常にCp ≧ Cpk で、一致するのは平均が規格の中心にあるときだけです。
実務的な含意もはっきりしています。Cpが十分でCpkが不足しているなら、まず平均を規格中心に寄せる調整で改善できます。 Cp自体が不足しているなら、ばらつきそのものを減らす原因追究が必要になり、難易度がまったく違います。この切り分けができるかを問う設問が出ます。
計算する前に確認すること
工程能力指数を求める前提は2つです。
- 工程が管理状態にあること(不安定な工程の標準偏差は将来を代表しない)
- 分布が正規分布とみなせること(大きく歪んでいると、指数と不適合品率の対応が崩れる)
また不適合品を除いたデータで計算しないでください。能力を実際より高く見せることになります。
参考として、Cp = 1.00 で平均が中心なら、規格幅がちょうど±3σに一致するので、規格外れはおよそ0.27%(約0.3%)です。指数と不適合率が結び付いているのは、この正規分布の前提があるからです。
測定のばらつきという伏兵
見落としやすい論点です。測定のばらつきは製品のばらつきに上乗せされます。
したがって測定システムのばらつきが大きすぎると、
- 適合品を不適合と判定したり、その逆の誤判定が増える
- 工程能力が実際より悪く算出される
という事態が起きます。測定システムの評価を先にしないと、工程改善の努力が空回りします。 測定誤差のうちかたよりは校正で取り除けますが、繰り返しのばらつきは測定方法や環境条件の標準化で減らすものです。両者は別々に扱います。
工程能力が不足していたときの処置
優先度の順序が問われます。
- ばらつきを小さくする、または平均を規格中心に近づける工程改善(恒久対策)
- 全数選別(緊急避難。工程は変わらない)
- 規格を緩める/管理限界を広げる(対策ではない)
全数選別は当面の流出防止にはなりますが、工程そのものは何も変わりません。 緊急避難と恒久対策を分けて考える、というのが2級で繰り返し問われる姿勢です。
演習の順序
- 6種類の選び分け(計量値/計数値 → 群の大きさ → 不適合品数/不適合数)
- 管理限界と規格限界の区別、管理状態の意味
- 異常判定(限界外れ+連・傾向)と合理的な群分け
- 解析用と管理用の順序、限界の引き直し条件
- CpとCpkの計算と、差が意味すること
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