第二種電気工事士の学科に受かると、「次は何を取れば一番得か」で手が止まります。第一種電気工事士、認定電気工事従事者、消防設備士甲種、電験三種——名前は知っていても、どれが今の自分の仕事に効いて、どの順番なら知識を使い回せるのかは分かりにくいものです。電工2種で覚えた接地・許容電流・配線理論は、放っておくと半年で抜けます。新鮮なうちに「相性の良い資格」へ橋渡しするかどうかで、次の合格までの労力が大きく変わります。
この記事は、電工2種学科のあとに本当に検討する価値のある資格を、難易度・電工2種との相性・取る順番の観点で具体的に整理します。
この記事で分かること
- 電工2種の次に検討すべき主要資格(第一種電工・認定電気工事従事者・消防設備士甲種・電験三種・ビルメン4点)の違い
- それぞれの難易度と、電工2種の知識がどれだけ流用できるか(相性)
- 「電気を深めるか/設備管理を広げるか」で変わる取る順番
- よくある失敗(記憶が冷めてから挑む・業種を無視する等)の回避策
電工2種学科の前提は、50問・四肢択一、60%(30問)で合格、試験時間120分、合格率は約58%、勉強時間の目安は50〜100時間です。この土台の上に、次の3方向のどれを積むかを選びます。
全体像:次の資格は「深める/広げる/管理職へ」の3方向
| 方向 | 代表資格 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 電気を深める(上位) | 第一種電気工事士・電験三種 | 電気工事・設計を本業にしたい |
| 設備管理へ広げる(横) | 危険物乙4・ボイラー2級・冷凍3種・消防設備士甲種 | ビルメン・施設管理を目指す |
| 即・実務枠を増やす | 認定電気工事従事者 | 自家用設備の低圧工事に早く就きたい |
電気を深める:第一種電気工事士・電験三種
第一種電気工事士 は電工2種の上位資格で、500kW未満の自家用電気工作物まで扱えます。試験範囲は2種と地続きで、配線理論・電気機器・法令の多くが共通。電工2種の知識が最も流用できる相性の高い資格 です。だからこそ「学科の記憶が新鮮なうち(合格から1〜2年以内)」に挑むのが定石。なお第一種は試験合格と免状交付が別で、免状には所定の実務経験が必要なため、受験前に最新の要件を確認してください。
電験三種(第三種電気主任技術者) は理論・電力・機械・法規の4科目で、計算量・難易度ともに電工2種より一段も二段も上です。電気の理論を仕事にする人向けで、合格までは数百〜千時間規模を見込む長期計画になります。電工2種→第一種で土台を固めてから狙うと、理論の入りが楽になります。仕事内容・難易度・4科目の中身は、電験三種の解説記事でくわしく整理しています。
また、現場で手を動かす側から現場をまとめる管理側へ進みたいなら、電気工事施工管理技士という方向もあります。電気工事士が「作業」の資格なのに対し、施工管理技士は工程・品質・安全・原価を管理して工事全体をまとめる監督の資格です。主任技術者・監理技術者として配置できるため、建設会社でのキャリアアップや年収アップにつながりやすいのが特徴です。
| 資格 | 難易度(対 電工2種) | 相性 | 取る順番の目安 |
|---|---|---|---|
| 第一種電気工事士 | やや上 | 非常に高い(範囲が地続き) | 2種合格後1〜2年以内 |
| 電験三種 | 大幅に上(長期戦) | 中(理論は活きるが計算が別物) | 第一種の後、腰を据えて |
設備管理へ広げる:ビルメン4点・消防設備士甲種
ビルメン(ビル管理・設備管理)を目指すなら、電工2種は「ビルメン4点セット」の1枚目です。残りは 危険物乙4・二級ボイラー技士・第三種冷凍機械責任者。電気とは分野が違うため知識の流用は限定的ですが、設備管理職では4点そろうと評価されやすい標準スペックになります。
順番のコツは、受験機会が限られる資格から逆算すること。冷凍3種は実施回数が少ないため、まず冷凍3種の試験日を押さえ、その前後で受験機会の多い危険物乙4・ボイラー2級を埋めると、1年で4点に届きやすくなります。
消防設備士甲種 は、電工2種の知識が直接活きる横展開先です。電工2種は甲種の受験資格の一つになり、消防設備の電気系統(自動火災報知設備など)で配線の知識がそのまま役立ちます。防災設備まで守備範囲を広げたい人に向きます。
| 資格 | 難易度(対 電工2種) | 相性 | 取る順番の目安 |
|---|---|---|---|
| 危険物乙4 | 同等〜やや易 | 低(別分野だが定番) | 4点のどこからでも |
| 二級ボイラー技士 | 同等 | 低 | 冷凍3種の合間に |
| 第三種冷凍機械責任者 | 同等〜やや上 | 低(受験機会が少ない) | 試験日を軸に優先確保 |
| 消防設備士甲種 | 同等〜やや上 | 高(電工2種が受験資格・配線知識が活きる) | 電気の記憶が新鮮なうち |
即・実務枠を増やす:認定電気工事従事者
意外と見落とされるのが 認定電気工事従事者 です。これは新たに難しい試験を受ける資格ではなく、電工2種免状を持っていれば認定講習の受講などを通じて取得でき、自家用電気工作物のうち低圧部分の電気工事に従事できるようになります。第一種ほど範囲は広がりませんが、短期間で実務の幅を増やせるのが利点。第一種にすぐ挑むのが重い人の、現実的な一歩目になります。
合格後の進め方(例)
電工2種学科に受かった直後から逆算すると、無理のない流れは次のようになります(あくまで一例)。
| 時期 | 電気を深める | 設備管理へ広げる |
|---|---|---|
| 学科合格直後 | 技能試験の準備に集中 | 同左 |
| 技能合格後 | 認定電気工事従事者を検討 | 危険物乙4に着手 |
| 半年後 | 第一種の学科対策を開始 | 冷凍3種の試験日を確保 |
| 1年後 | 第一種に挑戦(記憶が新鮮なうち) | 4点セット完成、消防設備士甲種を視野に |
よくある失敗と回避策
失敗1:業種を考えず人気資格から選ぶ。 電験三種は人気ですが、ビルメン志望なら4点セットの方が早く評価につながります。回避策は、まず自分の目指す職種で「実際に手当・配属に効く資格」を起点に選ぶこと。
失敗2:記憶が冷めてから上位資格に挑む。 電工2種と第一種は範囲が地続きなので、合格直後ほど学習が軽く済みます。回避策は、技能試験が終わったら間を空けず第一種の学科に着手すること。
失敗3:受験機会を無視して4点をバラバラに受ける。 受験回数の少ない冷凍3種を後回しにすると、4点完成が1年以上ずれ込みます。回避策は、冷凍3種の試験日を先に押さえ、そこから逆算すること。
まとめ:まず「深めるか/広げるか」を1つ決める
電工2種の次は、電気を深める(第一種→電験三種)・設備管理へ広げる(4点セット+消防設備士甲種)・認定電気工事従事者で実務枠を増やす、の3方向です。どれも電工2種が起点として活きますが、相性が一番高いのは第一種電気工事士。迷ったら、学科の記憶が残っている今のうちに第一種へ進むのが効率的です。
次の一歩はシンプルです。まず自分が「電気を深めたいのか、設備管理を広げたいのか」を1つだけ決めてください。方向が決まれば、上の表からあなたの最初の1枚が選べます。
電気工事士から電験三種・施工管理技士・エネルギー管理士まで、電気系の資格全体を地図にして取る順番を見たい人は、次の記事もあわせてどうぞ。
電気の資格はどれから取る?電気系資格ロードマップを確認する →
第二種電気工事士 学科 オリジナル予想問題160問で実力確認 →
出典:
- 一般財団法人 電気技術者試験センター — 第二種電気工事士試験 受験案内
- 電気工事士法 (昭和35年法律第139号) — 電気工事士





















































































































