結論:学科の合格率は近年55〜62%。年度の上下でなく「実数値の傾向」で読む
第二種電気工事士の学科(旧:筆記)の合格率は、令和元〜6年でおおむね55〜62%を行き来している。「約60%」という丸めた数字だけ見ても高いか低いか判断できないが、年度別の実数値を並べると、50%台後半〜60%前後で安定していて極端に難化しない試験だと分かる。さらに技能の合格率(68〜74%)と並べ、合格点(50問中30問=60点)まで具体化すれば、合格率は不安の材料ではなく計画の出発点になる。電気技術者試験センター公表データに基づき、年度別の数字で読み解く。
| 指標 | 数値 | 出典の水準 |
|---|---|---|
| 学科 合格率(近年) | 約55〜62% | 令和元〜6年 |
| 技能 合格率(近年) | 約68〜74% | 令和元〜6年 |
| 学科の合格基準 | 60点(50問中30問) | 1問2点・絶対評価 |
| 学科の出題・時間 | 四肢択一50問・120分 | 一般問題+配線図問題 |
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学科合格率の年度推移(令和元〜6年)
「約60%」の中身を年度別に開くと、上期・下期で多少の差はあるが、傾向はつかみやすい。
| 年度 | 上期 | 下期 | 年間の目安 |
|---|---|---|---|
| 令和元年度 | 70.6% | 58.5% | 約65.9% |
| 令和2年度 | ※中止 | 62.1% | 約62.1% |
| 令和3年度 | 60.4% | 57.7% | 約59.1% |
| 令和4年度 | 58.2% | 53.3% | 約55.6% |
| 令和5年度 | 59.9% | 58.9% | 約59.4% |
| 令和6年度 | 60.2% | 55.9% | 約58.1% |
※令和2年度上期は新型コロナウイルス感染拡大防止のため学科試験が中止。
読み取れるのは、直近1年の数字だけで一喜一憂しないことの大切さだ。令和4年度下期のように50%台前半まで下がる回もあるが、複数年で見れば55〜62%の帯に収まっている。これは「いつ受けても、対策しだいで届く土俵が一定している」ことを意味する。合格率が年度で乱高下する試験なら「たまたま難しい回」のリスクを織り込む必要があるが、電工2種の学科はそうではない。
何点取れば合格か:絶対評価の「30問」を具体化する
合格率を「対策」に変える第一歩は、ゴールの点数を具体的に知ることだ。学科は次の形で決まる。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 出題 | 四肢択一50問(一般問題+配線図問題) |
| 配点 | 1問2点(100点満点) |
| 合格基準 | 60点=50問中30問 |
| 評価方式 | 絶対評価(基準点超えで全員合格) |
| 試験時間 | 120分 |
ここが「合格率に踊らされない」核心だ。相対評価なら「他人より上に行く」発想が要るが、絶対評価なら勝負相手は他の受験者ではなく基準点。30問取れる準備をすればよく、満点を狙う必要はない。約60%という合格率は「対策すれば普通に届く水準」であり、20問分(40点)は落としてよいと考えると、必要以上に怖がらずに済む。
学科→技能の二段構造で合格率を見る
第二種電気工事士は「学科試験」と「技能試験」の2段階だ。学科に合格(または免除)した人だけが技能へ進み、両方を突破して免状を取得する。合格率を見るときはこの二段構造を必ず意識する。
| 年度 | 学科 合格率 | 技能 合格率 |
|---|---|---|
| 令和元年度 | 約65.9% | 約65.3% |
| 令和2年度 | 約62.1% | 約72.4% |
| 令和3年度 | 約59.1% | 約72.8% |
| 令和4年度 | 約55.6% | 約72.6% |
| 令和5年度 | 約59.4% | 約71.0% |
| 令和6年度 | 約58.1% | 約70.3% |
誤解しやすいのは、学科の約60%をゴールの数字だと思ってしまうことだ。学科の合格率はあくまで前半を通過する割合にすぎず、最終的な取得には技能の突破が別途必要になる。技能の合格率が学科より一段高い(近年68〜74%)のは、学科というふるいを一度通った母集団が受けるためでもある。
二段構造で見るメリットは対策のメリハリだ。学科の時期はテキストと問題演習で知識を固め、学科を通過してから工具・作業練習に集中する——この順番なら、それぞれの合格率を着実に自分のものにできる。
なぜ国家資格の中では取りやすい部類なのか
「55〜62%で安定」という推移は、国家資格としてはかなり親切な部類だ。その理由を分解する。
| 取りやすさの理由 | 中身 |
|---|---|
| 絶対評価である | 上位何%でなく、基準点(60点)を超えれば合格 |
| 出題の土台が安定 | 一般問題・配線図とも範囲とパターンが大きく変わらない |
| 二段構造で負荷を分割 | 学科は知識、技能は実技と、一度に全部を問われない |
合格率が低い試験の多くは相対評価だったり出題が読みにくかったりするが、電工2種の学科は基準点を超えれば受かる絶対評価で、出題の土台も安定しているため、対策が素直に得点に反映される。年度別に見ても、難化した回でさえ50%台前半止まりで、30%台に沈むような波がない。これが「取り組みやすい合格率」を支えている。
落ちる4割はどこでつまずくか
約60%が受かるなら、約4割は学科で落ちる。合格率を対策に変えるカギは、受かる側ではなく落ちる側を見ることだ。
| 落ちる典型 | 症状 | 回避策 |
|---|---|---|
| 計算問題を全部捨てる | まとまった配点を丸ごと失い、残りで満点近くが必要に | 頻出の計算パターンだけでも得点源にする |
| 配線図の対策不足 | 後半の配線図問題で大量失点 | 配線図問題を独立した演習として反復 |
| 過去問の答えを丸暗記 | 数値や図を変えられて判断できない | 出題の意味を理解する予想問題で補強 |
| 直前に詰め込む | 範囲を一周できず本番を迎える | 学んだ分野を即演習し早めに一周 |
絶対評価で30問取ればよい試験だからこそ、計算や配線図を丸ごと落とすと得点源を自分から手放すことになる。約60%の裏にある4割は、知識不足というより戦略の取り違えで沈むケースが少なくない。
ビルメン4点セットの中での位置づけ
難易度感をつかむには近い資格と並べるのが早い。設備管理(ビルメン)を目指す人が集める「ビルメン4点セット」——危険物乙4・二級ボイラー技士・第三種冷凍機械責任者・第二種電気工事士——の中で電工2種の学科を位置づける。
| 観点 | 電工2種(学科)の位置づけ |
|---|---|
| 4点セット内の難易度 | 標準的な部類 |
| 特徴 | 学科は知識中心、別途技能試験がある |
| 取得計画での扱い | 二段構造ぶんの時間を見込んで計画 |
4点セットの中で電工2種の学科は突出して難しいわけではなく標準的なレンジに収まる。ただし他の3資格と違って技能試験がある点は計画上の差として押さえておく。「学科は標準的、技能の準備期間を別に確保する」と捉えておけば、4点セットを狙う順番づけで迷わない。
まとめチェックリスト
- [ ] 学科の合格率は近年55〜62%で、年度の上下でなく傾向で読むと言える
- [ ] 技能の合格率(68〜74%)が学科より一段高いことを把握している
- [ ] 学科の合格点は50問中30問(60点)の絶対評価だと具体的に言える
- [ ] 学科の約60%はゴールでなく前半の通過率だと分けて捉えている
- [ ] 落ちる4割の典型(計算の捨てすぎ・配線図不足)を先に潰す計画を立てた
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編集部の見方
160問の予想問題を作るとき、私たちは一般問題と配線図問題を意図的に同じ比重で揃えた。解説データを見ていると、学科で落ちる人ほど配線図と計算を「捨て科目」にしてしまい、絶対評価で本来取れるはずの30問を自ら遠ざけている傾向が強かったからだ。合格率55〜62%という数字は、裏を返せば「対策が素直に効く試験」だという証でもある。年度の数字に振り回されるより、30問という到達点を決めて、計算・配線図まで含めて演習を回す——それが約60%の合格率を自分のものにする現実的な道筋だと考えている。
出典
- 一般財団法人 電気技術者試験センター — 試験概要・合格率・試験結果の公表
- 第二種電気工事士 直近5年間の合格率(denkikouji-shiken.com) — 学科54〜62%・技能68〜74%の推移、令和7年度上期(学科57.7%・技能72.0%)
- 第二種電気工事士 学科試験の合格率・合格基準(アガルート) — 令和2〜6年度の学科合格率(上期・下期)、合格基準60点・出題50問・試験時間120分
- 電気工事士法 — 第二種電気工事士の業務範囲の規定





















































































































